JR東海、座席濡れ検知装置を開発 東海道新幹線で導入

2021年11月28日 07:18

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座席濡れ検知装置の概要(画像: JR東海の発表資料より)

座席濡れ検知装置の概要(画像: JR東海の発表資料より)[写真拡大]

 JR東海(愛知県名古屋市)は26日、サーモグラフィカメラを用いた座席濡れ検知装置を開発したと発表した。東海道新幹線で導入する。従来は整備スタッフが1席ずつ専用装置で確認を行ってきたが、効率化を図る。

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 整備スタッフがコンパクトな座席濡れ検知装置を座席方向に向けると、サーモグラフィカメラが温度を感知。周囲と異なる温度の座席を見つけて、濡れている座席を特定する。最大3席を1度に確認できる。確認内容はスマホの画面に表示され、警告音でも知らせる。

 東海道新幹線は東京駅で折り返す際に、車内の点検整備を行っている。1日100本以上の新幹線の点検を実施しており、1列車につき2席程度の座席濡れを発見している。

 これまで座席濡れを発見するために、整備スタッフは「濡れ検知機能付ホウキ」を用いていた。ホウキの電極を座席に押し付けて水分を検知するもので、整備スタッフが1編成約1300の座席を1つずつ手作業でチェックしている。時間を要する上に、中腰での作業が整備スタッフの身体的負担になるという問題もあった。

 こうした問題を解決するために、JR東海と新幹線メンテナンス東海は新しく座席濡れ検知装置を開発した。使用すれば、整備スタッフは立ったまま効率的に確認を行うことが可能だ。11月中に全スタッフの教育を完了し、12月から全面的に使用を開始する計画だ。導入コストは5200万円。

 開発のポイントは、整備スタッフごとの撮影角度のずれや身長の差、車内の明るさなどに関わらず検知できるようにした点だ。AIを活用して画像分析を実施。ひじ掛けの位置を検出することで、検知エリアを正確に認識できるようにした。

 サーモグラフィカメラではさらに赤外線画像も撮影。椅子の座面温度を取得し、濡れた箇所を自動で判定するようにした。それをスマホ上で誰でも間違いなく認識できるよう、座席図に色をつけて表示するようにしている。(記事:土佐洋甘・記事一覧を見る

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