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国とメーカーが進めるEV普及、価格だけでは無い課題
小泉進次郎環境相は9月7日の記者会見で、軽自動車規格の軽EVを軽ガソリン車と同等価格で購入できる仕組みを目指すと発表した。現在国内のEV(電気自動車)インフラは決して整備されているとは言えず、「ゼロカーボン・ドライブキャンペーン」のどの部分にどれだけ資金が投入されるのかは、はっきりしていない。
【こちらも】日本のEVは最先端を行っている
脱炭素への取り組みが加速し、世界各国の自動車メーカーはEV開発のしのぎを削っている。そんな中、国内で販売される自動車は、依然としてハイブリッド車主導のままが現実だ。もちろん、ハイブリッド車が悪いとは言わないが、すでに多くの海外自動車メーカーから魅力的なEVの発売が始まっているにもかかわらず、国内メーカーには魅力的なEV車がない。
国がEV事業をすすめ、普及させようと様々な方策を打ち出しても、メーカーがそれに追従する形でEV車を販売しなければ、最終的にユーザーが選べる選択肢は海外メーカーになってしまうだろう。
EV車は、今までのガソリン車とは全く異なるポテンシャルを秘めている。それは、携帯電話で例えるなら、ガラケーとスマートフォンほどの違いがあるといえるだろう。
例えば、大きなエンジンを必要としないため、1輪ずつにモーターを取り付け、それぞれ個別に制御させることが可能だ。走行安定性だけでなく、クルマの動きも、先日公開されたメルセデス・ベンツ ビジョンAVTRのような横方向への特異な動きも可能だ。
もちろん良いことだけではない。EV車には、まだまだ価格や航続距離のほか、充電インフラの課題がある。インフラ整備も進めなければ全く意味がないことは、トヨタ自動車の豊田章男社長のコメントでも明らかだ。
だからといって海外勢の取り組みに指をくわえて見ているわけにもいかないはずだ。トヨタも走行しながら充電できるワイヤレス充電の実験をアメリカで行っているほか、EV用のバッテリーに多額の投資を決めている。
いまでも、火力発電が発電量の多くを占める日本では、走るクルマをすべてEVにしてもトータルのCO2の削減はできないと唱える人は多い。また、冬のゲリラ雪のような自然災害では、EVの救助も問題となるだろう。
EVを普及させるためには、価格を安くする方策だけではすまない。本当に環境にやさしい乗り物にするためには、発電も根本から見直す必要がある。安心して走れる環境を構築しなければ、国内での普及が見通せないだけで無く、日系自動車メーカーねの海外での競争にも、悪影響が懸念されるだろう。(記事:小泉嘉史・記事一覧を見る)
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