マルマエの大幅上方修正・株価動向が改めて示す、「半導体不足」の現状

2021年7月23日 08:04

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 マルマエ(東証1部)。「半導体不足解消」が喫緊の課題と指摘されるいま、半導体向けを中軸とした液晶や太陽電池製造装置の精密部品の加工業者。1965年に現代表:前田俊一氏の厳父:前田務氏により自営業として設立された。

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 マルマエの社名は務氏が起業する折に先輩経営者から、こう聞かされたのが引き金とか。「丸く角が立たないように事業を進めていかなくてはならんぞ」。務氏は「丸く前に進む」と自らに言い聞かせ、マルマエの社名にしたという。

 さあ、そんなマルマエだが前8月期は「9.2%増収、80.8%営業増益」と高くなった下駄を履いて、今期に臨んだ。7.1%の増収も「13.0%の営業減益」と慎重に立ち上がった。だが中間期開示と同時に、「13.9%の増収(22億9900万円)、16.2%の営業増益(4億2400万円)、5円増配22円配」へ大幅に上方修正した。

 売り上げ増は、「半導体分野が過去最高水準の活況にある。FPD(フラットパネルディスプレイ)分野も市場急回復に伴う受注増」と説明した。利益面は、「売上高増効果。低採算受注の減少で期初想定の材料費が低くとどまった」とした。

 が、実は前期決算の決算短信には『次期の見通し』としたFDP分野では「落ち込みを最小限度にとどめる活動を・・・」としながらも一方で、「主要な販売分野である半導体分野では、20年10月以降ファウンダリ(顧客からの設計データをもとに半導体を受託生産する企業)向け設備投資の回復の動きが見られる。新規顧客向け試作品の提供も継続している。こうした市場環境から21年8月期の第1四半期までは停滞しながらも、第2四半期以降には回復し始める見通しを持っている」としていた。

 実際は第1四半期で前年同期比「16.9%増収、35.9%営業増益」。「読み(積算予想)」は前倒しで始まっていた。7月8日、ZOOMミーティングで前田社長の話を聞く機会を得た。「想定より早いタイミングでの回復入り。嬉しい誤算についてどう認識しているか」と問うた。返ってきた答えは「半導体不足が想定以上の効果をもたらした」だった。

 株価動向も「半導体関連」+「収益上方修正」を素直に?反映している。3月9日の1145円(年初来安値)から上方修正(3月30日)を挟み、6月18日の2541円(同高値)まで2.2倍強の急伸。時価はほぼ高値ゾーンでの持ち合い。予想PER44倍強まで買われている。IFIS目標平均株価も2700円。「時を映し出す企業(銘柄)」ということか・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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