誕生直後の原始惑星系円盤を解析 惑星誕生の謎に迫る 国立天文台の研究

2021年2月16日 08:17

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 アメリカのコーネル大学が運営する学術論文サイトarXivで15日、形成途上にある原始惑星系円盤の構造に関する国立天文台の研究論文が公開された。この情報は太陽系が形成されたプロセスの推定にも役立つもので、地球から約330光年離れたいて座の方向に位置する原始惑星系HD16329の、アルマ望遠鏡による詳細な構造の解析結果に関するものである。

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 アルマ望遠鏡は、アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計の略称で、南米チリの標高5,000mの高地に建設され、2011年に科学観測を開始した巨大望遠鏡だ。星や惑星の材料となる塵やガスが放つかすかな電波を、「視力6000」に相当する性能でとらえることが可能だという。

 HD16329は、質量が太陽の約2倍、年齢は400万歳という非常に若い原始惑星系であり、従来誕生直後の惑星が3つあることが確認されていた。今回発表された研究論文では、この原始惑星系の中心から67天文単位(1天文単位は地球から太陽までの距離を指し、約1億5千万km)の位置と、100天文単位の位置に顕著なリング構造が確認され、それらにおけるダスト厚とガス厚の比を求めている。

 中心から67天文単位にあるリング構造では、ダスト厚がガス厚と同程度であったが、100天文単位にあるリング構造では、ダスト厚はガス厚の10分の1程度にまで沈降していた。この事実は2つのリングにおけるガス乱流速度やリング形成機構が明らかに異なることを示しているという。

 ちなみに冥王星が最も太陽から遠ざかった場合の太陽からの距離が約50天文単位で、海王星のそれが約30天文単位であることを考え合わせると、今回の研究で明らかになった惑星の痕跡は、主星から非常に離れた場所で形成されたことがわかる。

 いずれにせよ太陽系は誕生からすでに50億年が経過しており、HD16329 はそれに比べて非常に若く、誕生直後の太陽系の状況を推定するのにも格好の研究材料である。この原始惑星系に限らず、他の原始惑星系の研究事例数も増やしていくことで、地球がどんなプロセスを経て誕生したのかその詳細が明らかになる日も近いのかもしれない。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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