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東京商工リサーチが「2020年を振り返って」を公表。コロナ禍では先行きは視界不良のまま、ほぼ1年で収束したリーマン・ショックと異なり「早期・希望退職の波は2021年も増勢基調で推移するだろう」[写真拡大]
今年は、新型コロナ感染症の影響で経済が大きく停滞した年であった。16日、東京商工リサーチが2020年の経済状況を回顧した「2020年を振り返って」というレポートを発表しているが、これによれば「2020年は年初から新型コロナウイルス感染拡大に翻弄された。東京オリンピック・パラリンピックをはじめ、様々なイベントが中止や延期、規模縮小を余儀なくされ、インバウンドは消失した。政府の相次ぐ支援策の効果で、企業倒産は抑制されたが、休廃業・解散は過去最多ペースで推移。足元で、これまでと違う何かが動き出したことを示唆する一年だった」とまとめている。
企業倒産は、深刻な人手不足、消費増税などの要因で19年9月から増勢ペースを強めていた。コロナ禍での資金繰り支援効果が出始めた4-6月期は前年同期比11.4%減と落ち着きを見せ、政府・自治体、金融機関などの特別貸付や実質無利子・無担保融資、持続化給付金などの支援措置が功を奏し、20年の企業倒産は19年を下回る見通しだ。しかし、補足しやすい倒産が抑制されるなか、休廃業・解散の流れが強まっており、これらは倒産と違い法的手続きもなく全件把握は難しいのが実情だ。実情は数字以上に厳しいであろう。
19年12月に1.57倍であった有効求人倍率は、20年10月には1.04倍まで低下しており、一部の業種を除き「人余り」の傾向が強くなっている。人員削減の波は上場企業も例外ではなく、20年は12月7日現在で90社が早期・希望退職を募集することが明らかにしている。90社は、リーマン・ショックの影響が深刻化した09年に次ぐ水準で、人数も1万7697人と19年通年をすでに上回っている状況だ。業種は、アパレルが最多の17社で全体の約2割を占め、自動車関連11社、電気機器10社や自粛ムードが直撃した外食7社、小売6社と「コロナの犠牲」となった業種が目立った。
リーマン・ショック時は、直後の09年に募集企業191社、対象人数は2万2950人と記録的な水準となったが、翌10年は82社、1万2223人まで減少し、ほぼ1年で収束した。しかし、今回コロナ禍のリストラは様相が大きく異なる。業績の低迷も終わりが見えない状況で先行きは視界不良のままだ。雇用調整助成金の特例措置も21年の早い時期に終了する可能性もあり、さらなるコストカットを求められる。来年21年に募集する企業もすでに9社、人数は1950人判明しており、「早期・希望退職の波は2021年も増勢基調で推移するだろう」とレポートでは予測している。(編集担当:久保田雄城)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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