携帯料金にようやく競争原理! 本気のドコモに、日本通信が対抗 かすむKDDIとソフトバンク

2020年12月7日 16:37

小

中

大

印刷

 菅首相の執念とも感じられる「携帯料金値下げ」問題は、官房長官時代の18年8月に「4割程度の引き下げ余地」があることを示唆して始まった。当時、菅官房長官は「携帯業界に競争原理が健全に働いていない」という問題意識を持っていた。

【こちらも】KDDIやソフトバンクら28社、NTTのドコモ子会社化に異議申し立てる意見書

 3大キャリアに競争環境を提供するはずだった楽天は基地局の開設に手間取り、KDDIの基地局を借りることに起因したデータ容量の制限、料金の分かり難さや通信品質への懸念が災いして、低料金の単一プランを設定したものの3大キャリアを脅かす存在にはなっていない。

 10月末には、KDDIが月額3980円、ソフトバンクが4480円の新プランを夫々傘下の格安ブランドで始めると発表した。表面的には価格差がある料金プランだが、通話料金の設定方法に相違があることを勘案すると、双方とも月額4480円程度で横並びするプランだ。

 従来存在しなかった20ギガバイトという通信容量のカテゴリーを新設して、ほとんど同じような料金設定でかつ、格安ブランドを使うという小細工が不評だったのは言うまでもない。

 武田総務大臣も1日の記者会見で、「実態を隠しきれいごとで国民を欺いている」という表現でKDDIとソフトバンクのプランを批判した。

 3日にNTTドコモから発表されたプランは、こうした事態の学習効果を感じさせるものだった。本体から送り出される新プランは、20ギガバイトのデータ容量(KDDI、ソフトバンクと同じ)で2980円だ。手続きがオンラインのみという制約はあるが、次世代通信規格「5G」にも対応している。

 4日には格安スマホを展開している日本通信が、20ギガバイトのデータ容量に無料通話を70分込みで、1カ月1980円の「SSDプラン」を10日に発売すると発表した。当初のデータ容量は16ギガバイトになるが、21年3月には20ギガバイトに引き上げてNTTドコモの新プランに対抗する。KDDIやソフトバンクが、傘下の格安スマホで始める同等プランよりも約2500円安いから半値以下だ。

 今まで携帯電話の料金を、単純に比較することは難しかった。データ容量が違っていたり、無料通話の設定が違っていたからだ。単純な比較ができないようにして、営業戦略の支障を避けようという業者側の思惑もあっただろう。

 今回のNTTドコモや日本通信のプランは、通話時間の設定に多少の差はあるが、データ容量が20ギガバイトで横並びになったため、KDDIやソフトバンクの格安ブランドとの比較が容易になった。UQモバイルのKDDI、ワイモバイルのソフトバンク、NTTドコモ、楽天、日本通信から提供される商品が、同じ20ギガバイトで1980円~4480円までの開きがあるということだ。携帯料金がこんなに分かり易くなったのは初めてだろう。

 楽天は別途データ通信量3~5ギガバイトで、現行プランの半値程度になる1000円台を視野に入れた新プランの検討を始めたと伝えられている。

 上場企業全体の中で、3大キャリアが20年4月~9月期の営業利益の1位~3位を独占するという異様な事態が、再現されることはもうないだろう。

 どんな業界でも当たり前のガチンコ勝負が、いよいよ携帯業界でも始まった。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る

関連キーワードソフトバンクNTTドコモ楽天KDDIワイモバイル日本通信

関連記事