高温で動作する磁気センサをダイヤモンド用いて開発 NIMSなどの研究

2020年11月16日 16:27

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ダイヤモンドMEMS磁気センサーの動作原理(画像:物質・材料研究機構の発表資料より)

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 物質・材料研究機構(NIMS)は13日、摂氏500度の高温でも動作する磁気センサーを、ダイヤモンドを用いて開発したと発表した。

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■石油の探索にも使用される磁気センサー

 磁気センサーの用途は、航空機や自動車エンジンの回転数検出から、石油や鉱物の探索、原子炉の劣化診断、宇宙利用まで広範囲にわたる。こうした高温な環境でも安定して利用できることが磁気センサーに求められる。

 これまでの高温磁気センサーは、電力消費の大きさや感度の悪さ等の課題があった。一方「MEMSセンサー」と呼ばれる基盤の上に集積化した磁気センサーは、低消費電力かつ高感度であるため、政府が掲げるスマート社会の実現にも不可欠だと考えられている。MEMSセンサーは主にシリコンや金属材料で作製されてきたが、電気や熱などに対して安定性が悪いため高性能化は困難だった。

■ダイヤモンドの欠陥が高温での耐久性を生む

 NIMSや東北大学などの研究者らから構成されるグループがMEMSセンサーの材料として着目したのが、耐熱性に優れたダイヤモンドだ。MEMSセンサーは、「カンチレバー」と呼ばれる振動板と磁気との共鳴を利用することで、磁気を検出する。研究グループはすでに、ダイヤモンド製のカンチレバーを用いたMEMSセンサーの開発に成功している。

 研究グループは今回、ダイヤモンドMEMSセンサーの改良のため、ダイヤモンド深くにある欠陥の影響を解析した。その結果、ダイヤモンドMEMSが、摂氏700度の高温でも安定性をもつことが確認された。カンチレバーとして高温でも外部からの磁気で弾性変形する「磁歪(じわい)材料」を活用し、ダイヤモンドMEMSセンサーと組み合わせることで摂氏500度でも安定して動作するよう改良。

 今回開発されたダイヤモンドMEMSセンサーは、過酷な環境下での磁気センシングに応用されるだろうと、研究グループは期待を寄せている。

 研究の詳細は、米物理学会誌Physical Review Letterに12日付で掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る

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