JSSJ(旧タカタ)再び大規模リコールか 内部通報で発覚 「品質は心の中でつくられる」

2020年10月27日 07:39

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 旧タカタ、現在はジョイソン・セイフティ・システムズ・ジャパン(JSSJ)となっているが、再び大規模リコールを行わなければならないようだ。

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 その病根は深いようで、日本経済新聞(『タカタ後継、シートベルト不正900万本か 国交省試算』)によると、❝4月に内部通報で検査不正が発覚❞とあり、❝JSSJ関係者によると、シートベルトは滋賀県彦根市の工場で生産された。一部の強度試験で基準を満たしていない数値を改ざんし、適合しているように偽っていた❞と断じている。ニュースソースは分からないが、これはかなり確実な情報のようだ。

 ❝国土交通省が15日までに試算した。問題のシートベルトを装備した自動車のリコール(回収・無償修理)も同200万台に及ぶ可能性がある。❞としており、大規模リコールとなることが確実視される。200万台規模のリコールは、昨今の増え続けるリコール件数の中でもかなり大規模となるようだ。内部通報であったことが残念だ。自ら発見できるシステムはつくれないのか?「品質は心の中でつくられる」と言われるが、「社員のモチベーション管理」を軽視する社会の風潮を変えねばなるまい。

 問題は、こうした事態をどのように受け止めたら良いのかだ。旧タカタのエアバッグリコールでは、「化学薬品である爆薬の経年変化を読み切れなかった」ため、「当時の人知を超える内容がある」とも言えたので、多くの化学薬品を使う自動車にとって共通の課題があると考えられた。

 だが今回の不正のように「検査数値を改ざんしていた」となると、「人為的、故意の犯罪」となる。そのため旧タカタの問題として捉えるのではなく、日本の自動車業界、また全製造業、そして全産業の信頼性に関わる、監督官庁を含めた「監視システム問題」として捉えるべきであろう。

 JSSJの国内シェアは4割ほどで、世界中では3割ほどのようだ。これほど世界で信頼されてきた「メイド・イン・ジャパン」の信用に傷ついたことは、基本から見直さねばなるまいということだろう。

 それにつけても、トヨタ系列でも問題が起きているが、トヨタのQC活動の基礎に「正直に・・・」とあるのが、なんとも受け入れがたい言葉となってきた。「性善説」に立ったシステムでは防止できないのであろうか?「品質は心の中でつくられる」を思い出してほしい。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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