大量絶滅は超新星爆発が原因の可能性 米イリノイ大の研究

2020年8月22日 10:57

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超新星爆発による風が地球上の大量絶滅をもたらした想像図。青い点線が地球の軌道を、その中の赤い点が太陽をイメージしている。 (イリノイ大学の発表資料より(c) Jesse Miller)

超新星爆発による風が地球上の大量絶滅をもたらした想像図。青い点線が地球の軌道を、その中の赤い点が太陽をイメージしている。 (イリノイ大学の発表資料より(c) Jesse Miller)[写真拡大]

 地球は誕生後、幾度かの大量絶滅を経験している。米イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校などの研究者から構成されるグループによると、超新星爆発が大量絶滅の原因となった可能性があるという。

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■デボン紀と石炭紀のあいだの大量絶滅

 研究グループは、大量絶滅のうち3億5,900万年前に発生したイベントが超新星爆発によってもたらされたとしている。ちょうどデボン紀と石炭紀の中間に位置する時期に調査が絞られた理由は、当時の岩に含まれる数十万もの植物の胞子に、紫外線が直射した痕跡があるためだ。これは、オゾン層の破壊が長く続いた証拠だという。

 オゾン層破壊の原因の候補として、大規模な火山活動や温暖化等、地球で発生した大惨事が挙げられる。また小惑星の衝突や太陽の噴火、ガンマ線バースト等の天体物理学的なイベントも原因として想定できる。

 だが、長期間これらのイベントが続いたとは考えにくいという。研究グループが代替案として提案したのが、地球から約65光年彼方で複数回の超新星爆発が発生したというものだ。超新星爆発は紫外線やX線、ガンマ線を地球に注ぎ、10万年ものあいだオゾン層を破壊し続けたという。

 だが、岩に含まれる植物の化石情報は、オゾン層の破壊が30万年続いたことを示唆する。そこで、複数の超新星爆発が発生したと研究グループは推察する。大質量星が超新星爆発すると、別の恒星もまた超新星爆発を発生させる傾向にあるため、複数の超新星爆発の可能性はあるという。

■放射性同位体の発見が説を裏づける

 研究グループは、プルトニウムとサマリウムの放射性同位体が、この説を裏づける鍵だとみる。これらの放射性同位体は、現在の地球で自然発生せず、宇宙での爆発を経由しなければならない。デボン紀と石炭紀のあいだの岩からこれらの放射性同位体の探索が必要だとしている。

 研究の詳細は、米国科学アカデミー紀要に18日付で掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る

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