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神戸大学は12日、さまざまな重症度の新型コロナウイルス患者の血清を多面的に分析した結果、全ての患者で中和抗体がつくられるが、重症になるほどその量が多くなること、また、同じく重症になるほど炎症を引き起こすサイトカイン等の量が多くなることを確認したと発表した。
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研究グループでは、特に高齢者について、早期に抗ウイルス剤の投与等によりウイルスの増殖を抑えると共に、重症化した場合には、ウイルスの消失後はステロイド療法等により、サイトカインストームを抑えることが重要であることが示唆されるとしている。
■重症化するほど中和抗体の量が増える
研究グループは、さまざまな重症度の国内患者12名についてその血清を多面的に分析した。
その結果、全ての患者について、中和抗体がつくられるが、重症になるほどその量が増えることが判明。中和抗体とは、ウイルスに感染したときにつくられる抗体のなかでも、そのウイルスを無毒化する働きがあるものをいう。ウイルスの量が増えれば、この中和抗体の量も増える。
このことから、ウイルスが増殖しその量が増えることが重症化の引き金となっている可能性があり、特に高齢者については、早期に血漿療法(中和抗体投与療法)や抗ウイルス剤の投与によって、ウイルスの増殖を抑えることが重要であることが示唆されるという。
■重症化するほどサイトカインの量が増える
また、重症化するほど炎症を引き起こすサイトカイン等の量が増えることも判明。
サイトカインは、炎症を生じさせて免疫を活性化する働きがある一方で、増えすぎると炎症を過剰に亢進し、免疫の暴走を引き起こしてしまう。これがサイトカインストームで、重症化の原因になる。
研究グループでは、重症化した場合、ウイルスが消失した後において、ステロイド療法等により炎症を抑制し、サイトカインストームを抑えることが重要であることが示唆されるとしている。
なお、国内で新型コロナ治療薬として認可されているレムデジビルには、ウイルスの増殖を抑制する働きが、デキサメタゾンには炎症を抑制する働きがある。
研究グループでは、根本的な治療薬や重症化を防ぐ方法の開発には、今後も患者の免疫応答を分析していくことが不可欠であるとしている。(記事:飯銅重幸・記事一覧を見る)
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