新型コロナの中和抗体をスピーディーに測定する手法開発 回復者への調査も 横浜市立大

2020年8月2日 07:48

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中和抗体をスピーディに測定できるhiVNTシステムの概念図(横浜市立大学の発表より)

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 横浜市立大大学院医学研究科の梁明秀教授らの共同研究グループは7月28日、感染症からの回復や再感染の予防に役立つ新型コロナウイルスの中和抗体を、短時間かつ容易に測定できる独自の検出法の開発に成功したと発表した。

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 感染性のあるウイルスを含有した人工の擬似ウイルスを使用しないため、感染リスクが生じない上、3時間以内で中和抗体の量を測定できるという。同大は、この手法を体内で作られた抗体がどのくらい残るかを調べる大規模な研究プロジェクトに役立て、将来的なワクチン開発を狙う。

 抗体は、ウイルスなど外来の分子が体内に侵入した後に作られるタンパク質。ウイルスやワクチンへの免疫反応によって生成され、生成後は再度体内に入ってくる異物(抗原)と結合するなどして闘う武器として機能する。様々な種類がある抗体のうち、ウイルスの増殖を抑えると同時に、再感染の予防に寄与する抗体を「中和抗体」と呼ぶ。

 先行研究ではすでに、新型コロナの中和抗体が特定されたという研究結果が報告されている。5月に科学雑誌「ネイチャー」に掲載された論文によると、47D11と呼ばれる中和抗体は、ウイルスの宿主細胞への侵入を媒介するSpikeタンパク質(Sタンパク質)を標的とし、結合。47D11単独か、受容体サブドメインを標的とする他の中和抗体との併用で、新型コロナの有効な治療戦略になるとされている。

 とはいえ、実情は厳しい。韓国防疫当局が実施した別の調査によると、患者から採取した血清のサンプル数から算出した抗体保有率は、0.03%。同局は、抗体を持つ人が一定数以上を超える「集団免疫」について、「新型コロナへの対応方法になれない」としている。中国の研究でも、新型コロナ感染によって作られた抗体が他の感染症より早く減衰するという研究結果が出ており、抗体が体内で長期間保持されない可能性が示唆されている。

 そんな中、研究グループは、中和抗体の検出精度を高め、集団免疫を獲得する道筋やワクチン開発の発展に向けた一助にしようと、検出法の開発に取り組むことにした。現在主流の検出法で、中和抗体の判定に2~3日がかかる、遺伝子組換えレンチウイルスベクターを用いた中和試験に代わる検出法を作る目的も、開発の主眼に据えた。

 「hiVNTシステム」と名付けた新たな検出法は、発光によって標的タンパク質を定量するHitBit(11アミノ酸のペプチドタグ)を活用。具体的には、表面に新型コロナのSタンパク質があり、HitBitで目印を付けたウイルス様粒子(VLP)を試験用細胞に投入した後、細胞内にあるLgBiTタンパク質とHitBitの相互作用で光る酵素の活性度合いで、中和活性のレベルを測る。酵素の発光量が少ないと、VLPが細胞に侵入している量が少なく、中和活性が高いと判断する仕組みだ。

 このような条件の下、実験は新型コロナの回復期患者の血清11例を対象に実施。その結果、被験体の血清全てが健常者の血清より発光レベルが低く、従来の検査法と同等レベルの中和活性が確認されたという。

 検査法の精度が高かったことから、hiVNTシステムの臨床導入は早く、8月から始まる新型コロナ回復者向けの抗体検査に活用される。集団免疫の獲得に影響を与える抗体の持続性を調べることが目的で、参加を見込むフリーアナウンサーの赤江珠緒さんや、元プロ野球選手の片岡篤史さんを含む300~400人を対象者に調査が行われる予定だ。(記事:小村海・記事一覧を見る

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