木星ではアンモニアのあられが降り注ぐ NASAの探査機ジュノーによる観測

2020年8月6日 16:11

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木星上空の大気の様子 (c) NASA

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 木星は地球のおよそ10倍の直径を持つガス状の巨大惑星である。比較的小さな望遠鏡でも確認が可能な大赤班はあまりにも有名だが、これは地球が2~3個すっぽり収まってしまうほどの大規模な大気現象で、1665年に発見されて以来、現在もその存在は健在である。このような長期間にわたる気象現象は地球では全く考えられないものだが、さらに興味深い木星大気現象に関する論文が、イギリスの学術誌Natureで公表された。

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 それによると木星大気中では頻繁に稲妻の閃光が確認されており、その存在がアンモニアを多く含むあられを降り注がせている可能性が高いという。この研究は、2011年8月5日に打ち上げられたNASAの木星探査衛星ジュノーがもたらした観測データに基づいたものだ。他の天王星、海王星などの巨大ガス惑星における気象現象の考察にも役立つものとして、学会では注目されている。

 化学的な解説をごく簡単にしておくと、普通は木星大気の成分に近いアンモニアと水蒸気の混合ガスは、マイナス100度程度の温度では液体状態を維持するのだが、木星の大気温度はこれよりも高く、あられが存在することは考えにくい。だが、稲妻の閃光、すなわちわかりやすく言えば、一種の高電圧による電気ショックによって液体状の木星大気中に異質核生成の起点となる核が発生する。

 真冬の車に下りる霜は、フロントガラスにほこりがついていな状態では気になるほどではないが、洗車を怠っているとガラスがほこりだらけになり、そのほこりを核として霜がどんどん成長していく。この場合、水が氷る核としてほこりが大きな役割を果たすわけだ。このような場合に霜が成長するきっかけになるのが、異質核生成現象である。

 木星上空で頻繁に起きる稲妻は、木星の大気中であられの核となるきっかけをつくり、通常であれば、大気が固化しない温度であっても、大気の固相成分であるあられが異質核生成によって成長してゆくと科学者たちは考えている。

 余談ながら、都会の大気汚染も異質核生成によるゲリラ豪雨の原因となっている。都会とそうでない地域では、大気中に含まれるチリの密度に大きな違いがある。都会ではチリの密度が高いため、異質核生成による雨粒の成長頻度が極めて高く、その比率はチリがほとんどない場所と比べて1000倍以上にも上るという。

 地球と木星では、降り注ぐものこそ違うが、宇宙における異質核生成は共通のメカニズムでどこの星においても存在し、それぞれの星の環境に応じた気象現象の原因となっているようだ。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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