一時代を築いた三菱・パジェロ生産終了へ 三菱自4~6月期は1761億円の赤字

2020年8月3日 07:09

印刷

2019年4月に発売された「ジェロ」の特別仕様車「FINAL EDITION」。(画像: 三菱自動車工業の発表資料より)

2019年4月に発売された「ジェロ」の特別仕様車「FINAL EDITION」。(画像: 三菱自動車工業の発表資料より)[写真拡大]

 三菱・パジェロと言えば、パリ・ダカールラリー(パリダカ)と篠塚建次郎だろう。篠塚建次郎と言えば、山口百恵の義兄となる有名人家系だ。そして、ラリーで活躍した三菱・パジェロは世界的に有名だ。RV(レクリエーショナル・ビークル)とのジャンルを築いた車として、日本では記憶される。現代のSUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)と少しだけ違って、よりラフロード性能を重視した車種だが、現在のSUVブームの先駆けと言っても良いだろう。

【こちらも】三菱自、「ミラージュ」を大幅改良 ダイナミックシールド顔に

 三菱・パジェロとの出会いは、三菱自動車販売のショウルームだった。キャタピラー三菱に入社した同級生が、三菱自動車販売に転籍させられた。キャタピラー三菱では本社事務だったが、営業マンをさせられることになった時、「免許はあるが、運転したことがない」と泣きついてきたのだ。路上教習をしてくれと頼まれて、自動車学校の教習車を借り出し付き合ったので、彼の新しい勤め先を訪問することにもなった。

 その時、ディーラーのショールームに飾ってあったのが発売間もないパジェロだった。友人は「これ見てみろ。俺、このクルマなら買うよ」と自慢げに紹介してくれた。当時、ラフロードカーは特殊な存在で、日本ではクルマで旅する習慣もなかった時代、ステーションワゴンでさえ「商用バンみたい」と毛嫌いされていた時代だ。「こいつ、クルマを知らねーな―」と思ってしまった。

 しかし、その時の彼の様子を思い浮かべてみると、現在のミニバンに対する受け止め方、SUVに対する受け止め方に見られる、「自分の部屋が動く」と言った憧れであったと感じる。スポーツカーの走行性能に憧れる筆者には、「とんでもなく的外れ」に感じたのだが、今となれば「自動車は移動手段」であり「自分の部屋が動く」ことが理想かもしれない。

 一時代を築いた三菱・パジェロは、2021年に生産中止となる。現代風SUVとして再生することが出来なかったのであろうか?残念な思いがするユーザーが多いのではなかろうか? 

 三菱自動車は4~6月期、1761億円の赤字を出し、コロナ禍では再生が危ぶまれるまでになっている。ルノー・日産・三菱の3社アライアンスで、手分けして再生を図る見込みだが、ヨーロッパを捨て東南アジアで戦うなら、トヨタ・RAV4のような生き方が出来たのではないだろうか?

 今後、自動車メーカーの世界的再編が起こるのかもしれない。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事