トクヤマ、先端材料の強化と伝統事業の競争力強化で成長を目指す

2020年6月22日 06:58

小

中

大

印刷

トヨタとの実証実験で使用するFC 発電機の外観。(画像: トクヤマの発表資料より)

トヨタとの実証実験で使用するFC 発電機の外観。(画像: トクヤマの発表資料より)[写真拡大]

写真の拡大

 トクヤマは6月15日、トヨタ自動車と共同で、燃料電池発電機(FC発電機)の実証実験を開始したと発表した。トクヤマの工場内で副次的に発生する水素を燃料として活用し、定格出力50kwの電力を供給、エネルギー効率、発電出力の安定性、耐久性、メンテナンス性などの実証実験を2022年3月期まで行う。

【こちらも】ニプロ、医療現場のニーズを踏まえた製品開発により成長を目指す

 トクヤマは、1918年、ソーダ灰(炭酸ナトリウム)の国産化を目指して、岩井勝次郎によって山口県徳山町に「日本曹達工業株式会社」として設立された。1936年に社名を徳山ソーダに変更し、1938年にソーダ灰の副産物を生かしてセメントの製造を開始。

 1940年、塩化カルシウム製造を開始し無機化学事業に進出、1964年に石油化学事業へ進出しポリプロピレン、塩化ビニル樹脂、イオン交換膜を順次製造開始、1994年に現社名へ改称した。

 2020年3月期の売上高は3,160億円。事業別の構成比は、苛性ソーダやソーダ灰、塩化カルシウムなどの化成品事業が26.3%、セメントや生コンクリート、資源リサイクルなどのセメント事業が24.4%。以下、多結晶シリコンや乾式シリカなどの特殊品事業が15.2%、ポリオレフィンフィルムや樹脂サッシなどのライフアメニティー事業が15.8%、海外でのグループ製品販売や運送業、不動産管理業などのその他事業が18.3%を占めるトクヤマの動きを見ていこう。

■前期(2020年3月期)実績と今期見通し

 前期売上高は3,160億円(前年比2.6%減)、営業利益は前年よりも9億円減の342億円(同2.8%減)であった。

 営業利益減少の要因としては、半導体向け多結晶シリコン、断熱材の不振により特殊品が28億円、苛性ソーダの原料価格上昇と海外市況の下落、酸化プロピレンの販売減で化成品が14億円、イオン交換膜の大型案件減少によりライフアメニティーが3億円の減益であった。

 一方、売上増加などでその他が25億円、資源リサイクルの増加によりセメントが6億円、全社調整が4億円の増益であった。

 今期は、新型コロナウイルスの影響も考慮して売上高3,100億円(同1.9%減)、営業利益280億円(同18.3%減)を見込んでいる。

■中期経営計画(2017年3月期~2021年3月期)による推進戦略

 2025年に先端材料世界トップ、伝統事業日本トップを見据えて、着実な利益成長を目指す戦略を推進する。

●1.特殊品、ライフアメニティーなどの成長事業と新規開発品で、先端材料の世界トップ目指す

 ・ICT関連分野の高純度窒化アルミニウム粉末を1.4倍、フォトレジスト用現像液プラントを1.75倍へ生産増強する工事を実施。
 ・樹脂サッシ関連製品、住宅用建築資材の子会社にパナソニックの出資を受け、市場開拓、ものづくりの協業を推進。
 ・歯科器材、臨床検査試薬などヘルスケア関連製品の開発推進。

●2.セメント、化成品などの伝統事業で、競争力日本トップを目指す

 ・化成品は電解事業収益最大化と物流インフラ整備、ロジステック強化。
 ・セメントはエネルギー高効率化とコンクリート補修、補強工事の拡大。

●3.グループ経営の強化

 ・グループ各社の位置付けを明確にし、成長戦略への貢献とコスト削減への貢献を求め、グループ経営管理を強化。

 先端材料と伝統事業のバランスで成長を目指すトクヤマの動きに注目したい。(記事:市浩只義・記事一覧を見る

関連キーワードトヨタ自動車パナソニック新型コロナウイルス

広告

財経アクセスランキング