太陽系誕生初期の小惑星や隕石衝突が生命誕生のきっかけか 東北大の研究

2020年6月10日 06:35

小

中

大

印刷

隕石海洋衝突のモデル図 (c) Tohoku University/ Yoshihiro Furukawa

隕石海洋衝突のモデル図 (c) Tohoku University/ Yoshihiro Furukawa[写真拡大]

写真の拡大

 6月8日にイギリスのScientific Reports誌で、東北大学の研究者による地球生命の誕生に関する研究論文が投稿された。生命誕生のきっかけは地球以外の小惑星が作ったというのである。

【こちらも】東工大など、生命誕生に関する新たな仮説を提唱

 生命を構成するアミノ酸分子は、複雑な構造を持つが、いったいどのようなプロセスでこのような複雑な構造の分子が誕生したのかについては、厳密にはまだ解明されておらず、地球起源説と宇宙飛来説の2つに意見が分かれているのが実態だ。

 宇宙飛来説の場合、地球でアミノ酸が誕生したメカニズムの説明から逃れられるが、では地球以外の宇宙のどこでどのようにしてアミノ酸が誕生したのかという新たな疑問が生まれるため、アミノ酸の起源についての根本的な説明にはなっていない。

 東北大学の研究者たちはこの問題に対する解決策として、小惑星や隕石が地球に衝突する際の状況を実験室的に再現し、アミノ酸のような分子合成が起きる可能性について検証を行った。それによれば、40億年前の地球上で二酸化炭素や窒素ガス分子が豊富に存在する海洋に小惑星や隕石が超高速で衝突すると、局所的にではあるが、アミノ酸が形成された可能性があるという。

 これまでにも、特定のアミノ酸の材料となる分子が存在する環境下で、特別な条件で火花放電を行うとアミノ酸が合成されるという複数の実験結果が報告されていたが、古代の地球環境で容易に起こりうる現象であるとはいい難いものがほとんどであった。つまり、今回の東北大学の研究のように、二酸化炭素と窒素ガスだけという、ごく自然にありふれた非常にシンプルな分子構成からのアミノ酸合成に関するものはなかったのだ。

 しかも今回の研究では、複数の実験において6種類のアミノ酸(グリシン、アラニン、β-アラニン、α-アミノ酪酸、β-アミノ-イソ酪酸、およびサルコシン)の形成が確認されたという。このようなアミノ酸の合成が起こりうるのは、恐竜を滅ぼしたような直径10kmを超える大隕石の落下時ではなく、20~100mという小規模でありふれた小惑星、あるいは隕石の落下時であると研究者たちは主張している。

 これらの事実は過去の火星の環境でも、地球と同じような原因で、生命分子の原料となるアミノ酸が合成されていた可能性をも示唆している。また現在、私たちが容易に目にすることができる無数にある月面クレーターの存在は、古代の地球や火星でも同様の激しい小惑星や隕石の衝突が起きていたことを確信させてくれる。

 今回の研究は地球外での生命誕生の可能性について、非常に説得力のある説明材料となった。早く地球外生命体に巡り会いたいものである。(記事:cedar3・記事一覧を見る

関連キーワード地球外生命東北大学火星惑星

関連記事

広告