マツダ・X-30搭載スカイアクティブXエンジンの悩み 世界に1つでも商品力が?

2020年5月12日 19:17

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MAZDA CX-30 X L Package(画像: マツダの発表資料より)

MAZDA CX-30 X L Package(画像: マツダの発表資料より)[写真拡大]

 マツダ・X-30のスカイアクティブ-Xエンジン仕様が発売になっている。マツダ3とマツダ・X-30に、スカイアクティブ-Xは搭載されたことになる。

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 世界初の技術で造られ、そして世界の他のメーカーはどこもまだ成功していないエンジンだ。その特徴は、「燃費が良い」ことだ。しかし、意外に低速域のトルクが強い。「HCCI(予混合圧縮着火)」、マツダが名付けた「SPCCI(Spark Controlled Compression Ignition: 火花点火制御圧縮着火)」、「マイルドハイブリッド」などの関係については説明されてきているので、新しい観点からいずれまた記事にしよう。

 スカイアクティブ-Xでは、最高出力は132kw(180ps)/6000、最大トルクは224Nm(22.8kgm)/3000。WLTCモード燃費は、16.2~18.2km/L 。FFの6ATモデルで16.8km/Lである。

 スカイアクティブ-G2.0では、115kw(156ps)/6000、199Nm(20.3kgm)/4000。WLTモード15.6~15.8km/L。

 スカイアクティブ-D1.8では、85kw(116ps)/4000、270Nm(27.5kgm)/1600~2600。WLTモード18.8~20.0km/L。

 これを見ると、スカイアクティブ-Xは、少しばかりスカイアクティブ-G2.0より最高出力、最大トルクがあり、スカイアクティブ-D1.8より高回転まで伸びるようだ。最大の売りである「燃費」だが、G2.0より10%程度の向上である。D1.8の方が10%程度良いことになる。

 街乗り中心の走行では、低速トルクがある分、D1.8の方が運転感覚としては使いやすいはずだ。高回転まで伸びることでは、やはりガソリンエンジンが数段フィーリングは上であろう。G2.0よりも低速から力があり、高速まで伸びるフィーリングには乗りやすさも感じるだろう。しかし、燃費が10%程度の違いで新車価格が70万円も違うと、商品力としては問題だ。

 低速域でのトルクの強さは意外だが、ディーゼルにはかなわないようだ。マイルドハイブリッドのおかげもあって、日常ではかなり使い勝手が良いであろう。しかし、それもスカイアクティブ-Xエンジンが、世界でただ1つのエンジンであると言わしめるほどの飛びぬけた内容ではない。

 マツダには、世界でただ1つのエンジンがもう1つある。ロータリーエンジンだ。第1次石油ショックにより一瞬にして商品力を失ってしまったが、その理由は「燃費が悪い」であった。筆者はロータリーエンジンにはかなりの距離乗った記憶があるが、「ヒューン」と言った独特のエンジン音を響かせ、加速力は大したものだった。吹き上がりのスムーズさも一級品で、期待は大きかった。

 比較してみると、スカイアクティブ-Xエンジンよりも衝撃は大きく、商品力はあったように記憶している。だから、残念ながらスカイアクティブ-Xエンジンは、ユーザーにとって「世界に1つのエンジン」との自負はもたらしてはくれない。だが、マツダ3、マツダ・CX-30はスタイルを見ても、運転しても、クルマとしての総合的魅力があるので期待して見ていたい。マツダの開発力を称賛しておくべきなのであろう。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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