新型コロナ感染症の重篤化は免疫システムの暴走が原因か 北大などの研究

2020年4月28日 12:09

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新型コロナウイルス感染後に重篤化するメカニズム(写真:北海道大学の発表資料より)

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 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は全世界に蔓延し、米ジョンズ・ホプキンズ大学の情報によれば、28日時点で感染者は300万人を突破、死者は約21万人にも及ぶ。北海道大学は24日、新型コロナウイルス感染症の重篤化は、「サイトカイン」と呼ばれる免疫系細胞から分泌されるタンパク質が過剰産生されることが、原因である可能性があると発表した。

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■スペイン風邪の甚大な被害をもたらしたサイトカインストーム

 細胞から分泌されるサイトカインは、細胞間の情報伝達を担い、免疫システムの制御をつかさどっている。特定の物質ではなく、インターフェロンやインターロキシンなど複数の物質の総称として、「サイトカイン」という言葉が用いられている。

 サイトカインが感染症などによって過剰産生されるとサイトカインストームが発生し、多臓器不全など重症化する。サイトカインストームは、1920年代に世界で大流行したスペイン風邪との関連性も指摘されている。

■サイトカイン産生過剰を阻害する治療法確立に期待

 北海道大学と量子技術研究開発機構の研究者から構成されるグループは、新型コロナウイルスの感染が拡大する以前から、インターロイキン6(IL-6)と呼ばれる炎症性サイトカインについて研究を続けてきた。IL-6は関節リウマチや癌の発症に重要な役割を果たすことも、同グループによって明らかにされている。

 今回、新型コロナウイルスの発症メカニズムとIL-6との関係について検討した。ウイルスの膜(エンベロープ)にあるスパイクタンパク質が、ACE2と呼ばれるヒト細胞の細胞膜の受容体と結合することで、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は体内に侵入することが、英科学誌Natureなどの論文で明らかにされている。

 研究グループはこれらの知見に基づき、新型コロナウイルスに感染するとヒト細胞の受容体が活性化し、最終的にIL-6等のインターロイキンやインターフェロンといったサイトカインの産生が誘導された結果、サイトカインストームに伴う致死的な急性呼吸器不全症候群が発症すると考察している。

 研究グループによると、サイトカインの過剰産生を遮断できれば、新型コロナウイルス感染症を防ぐことが可能だという。治療薬開発のための有望な標的として、これまで取り組んできたIL-6を増幅させる回路等が有望であるとしている。

 新型コロナウイルスに対するワクチンや治療薬の開発は全世界で実施されており、とくに重症化すると致死率が高いため、治療法の開発は喫緊の課題だ。

 研究の詳細は、米免疫学誌Immunityに11日付で掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る

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