ビル事業の「差別化」、少子化時代歯止め策にも

2020年4月17日 08:55

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「クロスオフィス日比谷」ウェルカムラウンジのイメージ。(画像: オリックスの発表資料より)

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 ビル事業も「差別化」の時代に突入した様である。不動産業界に詳しいアナリストは「英語でも対応可能な総合受付がある。高い機密性・セキュリティ性といった類では既に、リーシング(利用者募集)の武器とは言えない時代になった」とする。

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 現に、こんなビルが登場している。

 例えば、オリックス。3月16日「クロスオフィス」ブランドで展開する7拠点目となる「クロスオフィス日比谷」を開業した。場所は東京メトロ「霞が関」駅に直結した、飯野ビルディング9階。

 そんな好立地に加え「英語対応可能な受付」「機能性食品・飲料販売の無人コンビニ」が整備されたフロアに「機密性・セキュリティ重視」の1名用から25名用の69室、そして共同利用できる会議室(6-10名用)が3室。この限りでも「十分ハイスペックなビル空間」と言えるが、こんな設備も完備と知るに至っては「う~ん」と唸り声の一つも出てこようというもの。

★「人間工学に基づき設計された」(オリックス)仮眠用の寝台「エナジーポッド」が用意された仮眠スペース。昼寝の効能については「発明王:トーマス・エジソンは、夜は4時間程度の睡眠だが昼寝を1-2回していた」といった伝聞や、NASA(米国航空宇宙局)が宇宙飛行士を対象に行ったこんな実験結果が公になっている。「昼間26分の仮眠をとった結果、認知能力が34%/注意力が54%高まった」。

★flier(フライヤー)設備の導入。企画やマーケティングの方法の思案や営業力のアップと取り組むといった場合、ビジネス書の類はかっこうの資料。が、すべてを読んでいたのでは時間コストがかかりすぎる。書の「エキス」を要約したものに目を通すことができれば効率的。それがフライヤーサイトである。

 こんな例も知った。三菱地所グループは15年以上前から管理するビルに「保育所」を誘致する展開を見せてきたが、昨年8月には東京メトロ有楽町駅に直結した新国際ビルに「コトフィス~こどもとはたらくオフィス~」を開業した。「保育所付きコワーキングスペース」である。

 展開を担っている三菱地所プロパティマネジメントでは、一つの契機が「東日本大震災では自宅付近の保育所に預けている子供の無事が確認しづらく、それがストレスとなり丸の内を去り地元企業に転職したケースも少なくなかった・・・」と説明している。

 いま「コトフィス~こどもとはたらくオフィス~」の利用者は、近隣エリアに勤める幼児同伴の女性社員が主。子供を預けながら同じ場所のコワーキングスペースで働く若い母親も少なくないという。そしてこんな事実も知った。

 ★保育園児だけでなく、小学校低学年の学童向けの「コトフィス学童スクール」を4月から開講するという。それもECC(英会話学校)と提携し、「学びながら(母親と帰宅するまでの)時間を過ごす」という念の入れようである。

 記した様な施策が広がり・深まっていけば、「少子化時代改革」の一つの答えになるのではないだろうか。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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