不動産業界にも漂う不透明感

2020年3月31日 08:25

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2020年3月に竣工した「LEGALAND 下北沢」(画像: リーガル不動産の発表資料より)

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 3月19日、帝国ホテルが今3月期の通期計画を「売上高590億円から544億9000万円に、営業利益51億円から30億7000万円」に下方修正した。その理由を「コロナウイルス禍による訪日外国人の大幅減少、イベント自粛要請による宴席需要減」とした。ちなみに帝国ホテルの株価は下方修正発表日の終値で1236円と昨年来高値から42%近く下落している。

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 上場ホテルをランダムにピックアップしても大幅減益、それを映す形での株価の値下がりが目立つ。例えば19日の終値で見た場合昨年来高値からの値下がり率は「京都ホテル32%近く/ロイヤルホテル30%近く/ワシントンホテル70%近く」といった按配である。

 ホテル業界の厳しさに接したそんな最中、リーガル不動産(東証マザーズ)の平野哲司社長の「腕を撫す」発信に出会った。

 同社のビジネスモデルは「ビル・マンション・土地の仕入れ⇒大規模修繕・管理状況改善・最適な用途への変更⇒資産価値向上⇒投資家や法人に売却」というもの。大阪・東京エリアで事業展開を図っているが、平野社長は「売上の3分の2近くが大阪エリアで占められている」としている。

 収益動向は好調。前7月期の「23.1%増収、22.9%営業増益」に対し今期も、「43.9%の増収(341億6300万円)、8%の営業増益(25億400万円)」計画。直近の会社四季報も業績欄の見出しを【増額】とし、「売上高355億円、営業利益30億円」に独自増額している。

 四季報の改定期は2月。つまり8-10月期が開示され、かつ11-1月期について会社側が感触を得た直後。収益構造は売上・利益とも第4四半期に集中するにもかかわらず、「第1四半期実績、第2四半期の感触」を高く評価した結果だろう。詳細は四季報をお読みいただくとして、動向は結果を待つしかないが私は平野社長が発信している「今後の注力」に一抹の疑問を感じた。注力、とはこんな内容である。

★大阪エリア: 民泊・ホテル開発の展開。既に4棟のホテルを保有しているが、昨年9月に浪速区に開業した民泊専用マンション(レガリエ)はこんな仕様だ。共用部分には、どんでん返しの仕掛けがある「忍者部屋」を設けるなど「(訪日)外国人に楽しんでもらえる一工夫」(平野氏)が施されている。更に用地取得を進め新規案件の開発を図るという。

★東京エリア: 「リーガランド」ブランドで高級賃貸マンションを開発し、富裕層向けに販売している。既に約75棟・約1000室の開発実績を有している。平均5億円前後の物件で、利回り4-5%で回っている。この路線を強化していくという。平野氏はこう語っている。「収益性というより、相続対策の購入というケースが増えている。団塊の世代は現在70歳から73歳。この層が80歳代にかかってくると(相続税対策としての購入は)爆発的に増える。10年間でそうしたマーケットのリーダーになりたい」。

 記した方針に異を唱えるつもりは毛頭ないが、一方でこんな現実がある。

●観光庁は今年1-2月の訪日外国人について「韓国人・中国人の大幅減もあり、全体で前年同期比29.2%の減少となった」としている。また訪日外国人を引き込むビッグイベント:東京五輪/パラリンピックの開催に関し、コロナウイルス禍による「延期」が決まった。

●不動産経済研究所の調査は「2月の首都圏のマンション発売動向」を「前年同月比35.7%減(1488戸)、昨年9月以降6か月連続の減少」と、首都圏のマンション需要の変調を指摘している。

 記した限りでは「ホテル」、そして「マンション」の市場動向に「?」が否定しきれない。不動産業者は重い荷を背負い込んだといえるのではないか。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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