日立、AI活用しQUICKの開示書類解析・更新を支援 自然言語処理技術で

2020年3月6日 08:43

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今回の適用の概要図(画像: 日立製作所の発表資料より)

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 日立製作所(東京都千代田区)は3日、同社が開発する大量のテキストデータから必要な情報を抽出するAI(人工知能)技術が、政治・経済情報の配信サービスを手掛けるQUICK(東京都中央区)により、上場企業の開示書類を解析する業務に採用されたと発表した。

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 5月より有価証券届出書と有価証券報告書にAIの適用を開始し、その後債券発行登録追補書類などに対象書類を拡大する予定という。日立は今回の採用を通して得られた成果をもとに、金融機関だけでなく幅広い業種で活用できる新たなAIソリューションの開発に取り組んでいく考えだ。

 上場企業は、金融商品取引法により有価証券報告書、四半期報告書などを開示することが義務付けられている。開示された報告書は投資を行う際の判断材料や投資リスクを見極める材料となる。また金融機関では融資先の選定に利用されたり、商品やサービスを提供する儀業ではサプライヤーや販売先の選定にも使われるたりすることがある。

 重要な書類だが、100ページに及ぶ報告書を分析し重要な情報を抽出するには、時間と専門的な知識が必要とされ、特に個人投資家にとっては困難な作業となる。

 QUICKは、国内外の市況などのマーケット情報を証券会社や金融機関、個人投資家などに配信するサービスを提供している。配信する情報は、約3,500社の国内上場企業の有価証券届出書や有価証券報告書の内容をもとにしているが、これまで毎月1,000件を超す開示書類に関して、専任担当者が確認してデータベースを更新するといった作業を人手に頼っていた。

 今回、この作業に日立が独自に開発した自然言語処理技術を活用することにより、必要な情報を自動的に抽出できるようになるという。

 今回採用されるAIは、大量のテキストデータを解析し、賛否の根拠や理由を提示するディベート型AIと呼ばれるAIのコア技術として開発された。文章の構文パターンなどから、単語間や事象間の相互関係を抽出することができ、開示書類の情報から決算日や基準価格など約130項目に及ぶ情報を抽出し、データベースに登録するまでの作業を自動化する。これにより膨大な時間と手間のかかる業務の効率化が期待される。(記事:Kei_T・記事一覧を見る

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