トヨタ・3兄弟、統一して新型ノア発売へ トヨタ販売4系列チャンネルで全車種併売

2020年2月24日 07:43

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トヨタ・ノア(画像: トヨタ自動車の発表資料より)

トヨタ・ノア(画像: トヨタ自動車の発表資料より)[写真拡大]

 トヨタは、4チャンネル全販売店での全車種併売化を2020年5月に実施する。当初は2022~25年を目途としていたが、変化の激しい自動車業界の動きに対応しようとしている。また新たに、「カーシェアリング事業を立上げる予定」だ。

【こちらも】トヨタ、国内販売チャネル統合 全車種併売5年前倒で2020年春に実施

 トヨタは、これまで4チャンネルの販売網(トヨタ店、トヨペット店、カローラ店、ネッツ店)を同じテリトリーで競わせるようにしてきた。そのため販売チャンネルごとに特徴をつけることも必要で、「ミニバン3兄弟」のような、基本は同じでも「多少違う」仕様のクルマを其々の販売チャンネルに提供してきた。それは、同じテリトリーの中でお客を奪い合う競合関係でもあったのだ。

 しかし、縮小する現在の日本国内市場では、「地域密着」の特徴ある販売戦略のほうが有利である現実、またCASEによる市場の変化に対応するべく、車両販売店にレンタリース店も加えてシェアリング事業を拡大することを狙っている。

 狭い日本市場でも地域による特徴を捉えたほうが、販売戦略としてマッチするのであろう。特にCASEの普及によってカーシェアリングは合理性を増している。また、高齢者の運転をどのようにして代替えしていくのか?などは、地域ごとの課題も違っているようで、それぞれで「サービス業」の在り方を模索するにも全店、全車種併売のほうが向いていると見られる。

 「トヨタ・新型ノア」が2021年夏に登場すると見られているが、その時、ヴォクシー、エスクァイア3兄弟そろっての車種一本化となるのであろう。これまで3兄弟は基本的に同じボディとパワープラントであって、エクステリア、インテイリア、装備品の違いで特徴を出してきた。

 エクステリアデザインでは、「ヴォクシー」は若者を意識して個性的、「ノア」はファミリー志向、「エスクァイア」は高級感を出していた。

 すると、3兄弟の中でこれから「どの車種が生き残るのか?」となるのだが、どうやら「ノアが生き残る」ようだ。「ヴォクシー」「エスクァイア」の2つが廃止されることになる。これはどのような選択からなのかは分からないが、ノアが人気であるのと、他の2兄弟を代替えできる個性の持ち主と見られているのであろう。

 今後は、統一した「営業トーク」がどの様にセットされるのかが営業の腕の見せ所だ。顧客のニーズに対応して、オプション装備品の選び方などにより変化を示せないといけない。セットオプションについても、販売店サイドの都合より、これまでの3兄弟全てに対応できるアレンジを用意しておくべきだろう。

 また、現状ではまだ「カーシェアリング」に向かう「サービス業への転換」を現場では意識できてはいないようで、「カーシェアリング」を嫌っているようだ。それもそのはずで、営業マンの販売奨励金などの問題もあり、販売会社は「失敗のできない変革」を余儀なくされているようだ。

 これまで自動車ディーラーは販売ノウハウに頼っており、持続的なサービス業とは違う「一本釣り営業」の方法論に引っ張られているようであった。

 サービス業に変換するには「人心」を動かすことが基本になるため、まだまだ課題が多いと見られる。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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