日本触媒、全固体ポリマー電池の電解質膜を大幅に性能向上

2020年2月17日 12:22

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全固体ポリマー電池の構成(画像: 日本触媒の発表資料より)

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 日本触媒は13日、室温でも使用可能な全固体ポリマー電池用の電解質を開発したと発表した。

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 現在リチウムイオン電池は様々な分野で応用されているが、発火や爆発などの事故が多発しており安全性が課題となっている。そこで、その大きな要因となっている有機溶媒の電解液の代わりに、ポリマーを電解質として用いた全固体電池が以前から開発されてきた。だが従来の全固体ポリマー電池はリチウムイオンの伝導性が低く、50度以上に加熱しないと使用が難しかった。

 従来の全固体ポリマー電池の課題は、電解質の中をリチウムイオンが移動しにくいことだった。リチウムイオン電池の電解質である有機溶媒と比較して、ポリマーの中のリチウムイオンの伝導度は1桁以上低い。しかも、ポリマーの場合はリチウムイオンよりも他のイオンの方が輸送されやすく、リチウムイオンが動く速度が非常に遅い。そのため、全固体ポリマー電池は50度以上に加温して内部のリチウムイオンを動きやすくする必要があったのである。

 上に述べたような、電解質の中を動くイオンの中でリチウムイオンが占める割合は輸率と呼ばれている。これまでの全固体ポリマー電池の電解質は輸率が0.1程度と低かった。今回日本触媒が開発した新しい電解質膜は、輸率が25度で0.8、60度でも0.6とこれまでの5倍以上になった点が優れている。

 これまでも輸率を上げる研究開発の取り組みは多くされてきた。しかし、輸率を上げても全体の伝導度が下がったり、電池の高電圧に耐えうる安定性が失われたりといった問題が発生し、実用化には至ってこなかった。日本触媒が今回開発した電解質膜はその2点をクリアしている。

 高安全な全固体ポリマー電池が高性能化することによって、さらに多くの用途に応用が可能になると考えられる。これまでは危険な有機溶媒を用いたリチウムイオン電池を使わざるを得なかったデバイスにおいても、置き換えを行うことができる。例えば電気自動車や家庭用蓄電デバイスなどは、全固体ポリマー電池の使用によってさらに安心して使えるようになりうる。

 日本触媒は、今回の研究成果を2月26日から28日に東京ビックサイトで開催される、国際二次電池展に展示すると発表している。

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