技研製作所のインプラント工法への期待

2020年2月15日 08:20

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インプラント工法が採用された九州新幹線(西九州ルート)での地すべり対策工事。(画像: 技研製作所の発表資料より)

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 時間が空いた時は「四季報読み」に時間を費やす。

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 こんな企業に出会った。技研製作所(以下、技研)。四季報材料欄が【千曲川】の見出しで「堤防決壊の長野・千曲川復旧工事でインプラント工法受注。海外の工事関係者向け現場見学会開催で海外普及促進」と記していた。

 昨年は「ゲリラ豪雨」という表現に象徴される「雨」による、河川インフラの破壊が繰り返された。千曲川も、その一河川。「想定を超える河の氾濫にも耐えうる堤防づくり」が急務とされた。その復旧工事を受注したというのだ。

 本校作成時の株価は5000円出入り。昨年来安値2940円から4カ月余で同高値5130円まで買われ、微調整場面。IFIS目標平均株価は5350円と上値余地を示している。また17年8月期の初値で買い時価まで保有していると、投下原資は株価の上昇だけで2.88倍に増えている。

 調べてみる価値ありと判断。まず、ホームページを覗いた。社是とも言うべき「工法革命」の4文字が目に留まった。そして「インプラント工法で世界の建設を変える」と謳われ、工法革命がこう噛み砕かれていた。「既成概念や権益、非合理な慣習が重視される旧態依然とした建設業界を変化する“工法革命”を実現しなくてはならない」。

 収益動向も「例年通り今期も想定範囲の下限計画(11.0%増収、3.2%営業増益)で立ち上がった」(アナリスト)とされるが、今8月期予想を含む過去5期間の実績は平均「12.06%の増収、16.7%の営業増益」。前19年8月期の決算資料に目を通した。

 主力の「建設機械事業」は、売上高18年8月期比12.5%増の236億3800万円(総売上高比約73%)。セグメント利益は17.6%増の78億5500万円(約117%)。

 アナリストはこう説明した。「もう1本の柱は、圧入工事事業(振動や騒音を発生させず高精度に杭を地中に押し込む工法による建設・土木工事)。それを可能にしているのが技研の主要技法であるインプラント工法を活かした建設機械」。

 技研は「インプラント工法」を軸に成長している企業だという。ではそもそもインプラント工法とはどんなものか。技研では「採用が年々増加している。今年度は(当社調べで)167件に達する見通し」とした上で「インプラント工法は地中から堤頂(ていちょう)まで鋼管・鋼矢板の壁で一体化している。従来の地盤と一体化していない工法のように、増水や越水、地震による液状化などによる影響を受けない」とその特長を説明した。

 ちなみに国交省が東日本大震災の教訓を踏まえ設けた「防波堤の耐津波設計ガイドライン検討会」の座長を務め、「従来工法の限界」を指摘した高知工科大学の学長:磯部雅彦氏もインプラント工法の効果を認め、「検討する必要はある」と指摘している。

 技研のインプラント工法を実行する建設機械としては「サイレントパイラー」シリーズが知られる。

 四季報を、失礼ながら暇つぶしの読書対象とするのも悪くない。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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