わりかん(後払い)ガン保険登場

2020年2月4日 16:04

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(画像: justInCaseの発表資料より)

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 少額短期保険会社の「異色商品」がまたしても発売され、注目を集めている。

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 日本少額短期保険協会のデータでは、2019年3月末時点の業者数は101社。16年の同じ時期に比べ17社増。収入保険料の総額はこの間200億円以上増加し、1000億円を突破した。

 増えた17社中の1社に、ジャストインケースがある。保険数理人(アクチュアリー)の資格を持つ畑加寿也(はたかずや)氏が設立した。18年7月「保険をインタラクティブに!」を掲げての登場だった。

 第1号商品は「スマホ保険」。「東京金融賞2018都民ニーズ解決部門」の第1位を受賞している。その特長は「画面割れ・故障・水濡れ・盗難紛失(中古スマホやSIMフリースマホも対象)」を「月々356円からの保険料」で補償する。

 「スマホアプリから90秒で契約完結」。「安全に使えば(保険金請求が発生しなければ)保険料は(平均)約30%割引される」「3カ月の保険契約以内は修理費費用の上限額まで、何度でも修理費用を補償」etc。このほかにも詳細はホームページで確認していただくとして、「1日ケガ保険」なども発売されている。

 そんなジャストインケースが1月28日に発売を開始したのが、日本初の「P2P:ピア・ツー・ピア保険(わりかん保険)」。新聞記事風に記せば「保険料後払いのがん保険。1カ月間の保険金の総支払い額に応じ、毎月の保険料が(20-39歳:500円、40-54歳:990円、55-74歳:3190円を上限として)変わる。これより高額になることはない」。

 噛み砕けば、保険の原点ともいえる「頼母子講」や「無尽」など「相互扶助を具現化した」がん保険。契約者同士がリスクをシェアする保険である。具体的に記すと、以下のような枠組みの保険。

★保険金: 「がん」と診断された時に、一時金として80万円が支払われる。

★保険料後払い: 今年1月段階で契約者数が1万人/合計支払保険金160万円とすると、2月に事後請求される保険料は229円。図式で説明すると『(保険金160万円+保険料に占める管理費の割合30%:ジャストインケースが事後徴収)÷(保険契約者数1万人-がん羅漢者2人)』という次第。

 万が一、がんを患ってしまった際に今後と向き合う当面の資金を担保する商品。それを契約者同士で助け合おうというわけだ。金融庁の「規制のサンドボックス制度(生産性向上特別措置法に基づく実証実験)」の認定を受けている。申し込みはスマホを通じて行う。8社の保険会社と提携し、顧客層の開拓・深耕を図り「1万人の契約者の獲得を目指す」(畑氏)としている。

 「P2P保険が日本の市場に馴染むかは未知数」とする見方もあり、今後の動向を見守りたい。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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