三菱スペースジェット納入が6度目の延期か ”終わりの見えない戦い”に展望はあるのか? (1)

2020年1月30日 08:21

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「スペースジェット」(画像: 三菱航空機の発表資料より)

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 三菱重工業が「スペースジェット(旧MRJ)」の初号機納入時期を、6度目になる納入延期とする方針を固めた、と伝えられている。同社は報道を否定しているものの、2月6日に開催する19年4~12月期(20年3月期第3四半期)決算説明会で、正式に発表されるのではないかとも言われている。

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 スペースジェットは08年3月に事業化が決定し、90席クラスの「三菱リージョナルジェット(MRJ)」の開発が始まった。民間企業が主導し、政府が開発費として500億円を補助する一大プロジェクトである。

 その後、度重なる納入延期を繰り返し事業化の決定から8年を経過した16年になって、「今の状態では型式証明は取れない」という専門家の指摘を受けた。信じられないことに、三菱航空機は型式証明が取得できない航空機の設計を、8年間に渡って検証していなかったことになる。その指摘を受けて機体システムや部材などの見直しを行い、900件以上の設計変更を迫られることになってしまった。

 航空機には人体における血管の役割を担う精緻な配線が張り巡らされている。航空機が空に飛び立った後は、どんな事態が発生してもダメージを自力で克服して、飛行を続ける極限の安全性が要求される。機体に求められる高度な危機対応を具体的に実現するためには、的確に電気信号を送る配線網の充実が不可欠だ。

 過去に発生した様々な事故や、ハイジャックとテロなどで得られた知見と教訓を配線網に反映させると、その配線総数は数万に及ぶとも言われる。1カ所の不都合を是正するために、数十カ所の変更が必要になる可能性もある。

 16年に受けた専門家の指摘を、連動して変更すべき設計変更の件数として集計すると900件以上になったということだ。配線の設計変更と聞いて受けるイメージとは、隔絶した乖離を感じさせる作業だ。

 数々の設計変更に目途が付き始めた時期に表面化したのは、当初から開発を続けてきた90座席級のMRJでは、「スコープクローズ」をクリアできないという新たな壁だった。スコープクローズとは最大のマーケットである北米で、座席数や最大離陸重量などに制限を設ける、航空会社とパイロット組合間の労使協定だ。

 当初から認識はあった筈だが、90座席級の機体をメイン機体である70座席級機体の下敷きとして軽く捉えていたためか、スコープクローズが遠からず見直されると思い込んでいたためかは判然としない。(2)に続く(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る

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