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大学入学共通テスト記述問題の「そもそも論」

2020年1月10日 11:39

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■「共通テスト」とは

 大学入試の「共通テスト」に関して、昨年末、英語の4技能(読む・聞く・話す・書く)の試験が見送られ、それに続いて国語と数学に記述問題を導入することも延期され大騒ぎになった。

【こちらも】大学入学共通テストの記述式問題導入、白紙に

 そもそも「共通テスト」とは、昔の「共通一次試験」しかり、現行の「大学入試センター試験」しかり。普遍的、一般的な基礎的教養を問うものであり、論理力や表現力といった個別の特殊な能力を問うのには適さない。

■AI(人工知能)でも採点はムリ

 当初は大学入学共通テストの記述問題の採点に、AIを使おうと考えていたが、うまく読み取れなかった。人が書く「文字」などは特殊の最たるものであり、だからこそ「ロボットではありません」の判定に手書き風の文字が用いられている。

 個別的で特殊な能力を普遍的に処理しようとするところに、そもそも、制度の欠陥がある。AIによる採点という目論見(もくろみ)がはずれると、人海戦術で採点しようとしたが、短期間で50万人もの大学受験生の答案を普遍的、客観的に採点するのは物理的に無理があった。

 その結果、白旗をあげて世間をあ然とさせた。学校でもずっと「君たちの入試からは制度が変わる」と言ってきた先生も、言われた生徒も度肝をぬかれたことだろう。

■どのような能力が必要かは個人が判断するべきこと

 「将来はアメリカで起業したい」だったら英語の4技能を修得しようとするだろう。「推薦入試で志望理由書を書いて面接試験を受けなければいけない」、それが早くからわかっていれば、表現力、論理力を身につけようとするだろう。

 そもそも教育の現場に求められるのは、上から押しつけられた「現代社会に必要とされる能力」ではない。将来どうしたいのか、早い時期に「志(こころざし)」を明確にしてやることではないか。「能力」があるから現代社会に適応できるのではなく、「志」があるから、必要とされる「能力」を身につけて社会で活躍していくのである。

 「大器をつくるには、いそぐべからず」。今、「志」を重んじた吉田松陰の言葉が思い出される。(記事:大学受験国語のフットプリンツ 谷村長敬・記事一覧を見る

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