もっとも低い軌道高度に到達した宇宙観測衛星つばめ ギネス世界記録に認定

2019年12月28日 10:03

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「Lowest altitude by an Earth observation satellite in orbit」としてギネス世界記録に認定。(c) JAXA

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 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は24日、超低高度衛星技術試験機「つばめ」がもっとも低い地球観測衛星の軌道高度に到達したとして、ギネス世界記録に認定されたことを発表した。

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■ギネス世界記録に認定された地球観測衛星

 ギネス世界記録は、各分野での世界一を認定する英国組織だ。毎年9月に「ギネスブック」と呼ばれる書籍に、認定した記録を掲載している。

 地球観測衛星つばめは、2017年12月23日に種子島宇宙センターから打ち上げられた。軌道高度300キロメートルの超低高度軌道を飛行し、2019年10月1日まで運用されてきた。

 今回ギネス世界記録に認定された高度は167.4キロメートルだ。271.5キロメートルで軌道を維持していたつばめは、同高度まで下げ、7日間軌道を維持した。その間、高い分解能で衛星画像を撮影する実験を実施。また太陽の紫外線で原子状に解離した「原子状酸素」や大気密度、大気に晒された材料サンプルの劣化状況などのデータが収集された。

■将来の超低高度衛星開発のために実証

 JAXAはこれまで、超低高度軌道での地球観測に向けた取り組みを行ってきた。超低高度軌道での人工衛星の運用は、これまで実施されていない未開拓の分野だ。超低高度では大気抵抗の影響が無視できないため、長い時間動作することが求められる。

 そこでJAXAが取り組んできたのが、イオンエンジンだ。1円玉2枚分の重さ程度の推力だが、燃料効率が高く長時間動作可能だという。つばさによる今回の運用により、大気抵抗による軌道高度の低下を補いながら、継続的に低い高度を維持することや、JAXAが開発した材料が長時間耐えられることも確認された。

 超低高度軌道から観測することで、高分解能での光学画像の収集や、レーダーの低出力電力化が実現する。これにより、安全保障や防災分野、地球観測分野などでの利用の可能性が開かれるという。

 JAXAはつばめが得た実証実験の知見を活かし、超低高度衛星の開発など将来の宇宙利用につなげたいとしている。(記事:角野未智・記事一覧を見る

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