早大ら、ピッチャー投球時の手のひらの筋活動をリアルタイムで計測 世界初

2019年12月16日 18:10

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切り紙から着想を得たコネクタ部(写真:JSTの発表資料より)

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  • 開発したデバイスを装着した様子(写真:JSTの発表資料より)

 科学技術振興機構(JST)は12日、野球のピッチャーの投球時における手のひらの筋肉活動を、リアルタイムで計測することに世界で初めて成功したと発表した。日本の伝統工芸「切り紙」から着想を得たウェアラブルデバイスを開発し、計測に活用したという。

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■切り紙に着想を得たコネクタ部

 筋肉の活動を観察するために使用されるのが、表面筋電図だ。早稲田大学、北里大学、JSTの研究者から構成されるグループは、表面筋電位等の生体信号を計測できる絆創膏を開発していた。厚さ数百ナノメートルの絆創膏を、のりや粘着性ゲル等の接着剤を用いずに皮膚に貼りつけられ、皮膚の伸縮や発汗に対しても剥がれることなく筋活動の計測が可能だ。

 研究グループはこのデバイスを用いて、ピッチャーの投球時に、手のひらの筋活動の計測を試みた。計測には、開発された電子ナノ絆創膏と腕に固定したBluetooth端末をつなぐコネクタが活用された。切り紙を応用したコネクタは、装着したまま投球動作を行っても、測定中に断線しないという。

 研究グループは今回、野球経験者の投球時の手のひらの表面をリアルタイムで計測することに世界で初めて成功した。球種によって、前腕の筋活動はほとんど違いがない一方、手のひらで力の入るタイミングが若干違うことが初めて明らかになった。

■イップスの治療への応用も期待

 トップアスリート育成のためには、先端計測技術の発展が期待される。活動量計に代表されるウェアラブルデバイスは、健康増進を助ける器具としてもされている。

 アスリートの場合、繊細な皮膚感覚を有しているため、違和感を抱かせることなく、動作の計測が求められる。だが表面筋電位の計測は、ウェアラブルデバイスの装着が運動の邪魔になるため、困難だと考えられてきた。

 野球やゴルフ等のスポーツでは、「イップス」と呼ばれる運動障害が存在する。今回使用されたデバイスにより、運動中の手の指の筋活動が詳細に理解されれば、イップス改善の助けになるだろうと、研究グループは期待を寄せている。

 研究の詳細は、オンライン学術誌NPG Asia Materialsにて12日に掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る

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