危険はないか? ジャガー・I-PACE、制御ソフトを無線アップデートで航続距離延長

2019年12月15日 20:22

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ジャガー・I-PACE(画像: ジャガー・ランドローバーの発表資料より)

ジャガー・I-PACE(画像: ジャガー・ランドローバーの発表資料より)[写真拡大]

 ジャガーカーズは9日、ジャガー・I-PACEの制御プログラムに、航続距離を延長する無償アップデートを行うと発表した。ジャガー初のBEVであるI-PACEに対して、今のところ欧州だけのようだが、通信による制御プログラム変更を行うようだ。パソコン並みとなってきたアップデートだが、利便性と同時に種々の新たな問題点を生むこととなるのだろう。自動車もスマホ並みの時代になってきており、法整備を急ぐ必要もあるようだ。

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 この無線を使った航続距離を延長するアップデートは、ジャガー・I-PACE『eトロフィー』と呼ばれる、ワンメイクレースに使用されるEVレーシングカーのノウハウを使って実施するようだ。

 ジャガー初のBEVであるI-PACEだが、パワートレインは、当然だがモーターで4輪を駆動する。2個のモーターを前後アクスルに搭載している。最高出力は、2個のモーター合計で400ps、最大トルク71kgmを引き出す。

 モーターは1回転目から最高トルクを出すため、I-PACE加速は0~100km/hが4.8秒とガソリンエンジンスポーツカーを凌ぐ。前後重量配分は50対50と理想的な配分としており、操縦性などパフォーマンスはジャガーの伝統をはるかに超えているかもしれない。

 ジャガー・I-PACEのバッテリーは当然にリチウムイオンで、大容量の90kWhを車両重量が増えることを覚悟で始めから積んでいる。1回充電での航続は、WLTPモードで最大470kmを記録する。これは実用的にも十分な能力だ。

 充電については、急速チャージャーでバッテリー容量の80%まで、およそ40分(チャージャー能力DC100kW)で充電可能。家庭用の出力7kWの AC充電器を使用した場合、10時間ほどで満充電となる。緊急時15分の急速充電では100km走行分を充電できる。これは、実用レベルになっている。

 今回のジャガー・I-PACE制御プログラムのアップデートは、フロントモーターとリアモーター間のトルク配分を変更することで、4輪駆動の効率を上げ最大航続距離を伸ばしたようだ。これは、ECOモードで走行する場合に適応されるようだ。

 回生ブレーキもより効率を上げ、低速での回収量を上げ、満充電に近い場合ではエネルギーをより効率的に回収しているようだ。このような効率化を通信で出来てしまうことが大いなる進歩であり、一方でハッキングの危険を増大させる可能性を考えなければならない事情を生み出すのだ。テスラも新整備システムを実施してきているようだが、BEVはメンテナンスの新時代も告げてきている。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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