慢性疲労症候群を客観的に診断できるバイオマーカーを発見 三重大らの研究

2019年12月13日 21:12

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今回の研究の概要。(画像: 発表資料より)

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 慢性疲労症候群の客観的な診断法はまだ確立されていない。そのため現在は、様々な検査をして同じような症状が出る他の病気である可能性を除外していき、ようやく診断されている。三重大学らの研究チームは10日、慢性疲労症候群患者の血液中で、特徴的に細胞外小胞が増加しており、その細胞外小体の成分については、アクチンネットワークを構成するタンパク質の数値が高いことがわかったと発表した。

【こちらも】慢性疲労症候群の原因究明に進展、診断に有効なバイオマーカー発見

 今後、このタンパク質をバイオマーカーした慢性疲労症候群の客観的な診断や、タンパク質放出メカニズムの調査による、疾患発症の解明などにつながることが期待される。

 今回の研究には、三重大学の江口暁子講師、関西福祉科学大学の福田早苗教授、倉恒弘彦教授、理化学研究所の渡辺恭良チームリーダー、カリフォルニア大学サンディエゴ校のAriel E. Feldstein教授らが参加。

 筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS:Myalgic encephalomyelitis/Chronic Fatigue Syndrome)は、生活に支障があるほど重い疲労が6カ月以上続く疾患である。原因が特定されておらず、治療法も確立されていない。

 診断は、同様の症状を起こす可能性のある腎不全やリウマチ、甲状腺の異常などの可能性を除外していった結果行われる。そのため確定的な診断が難しく、ME/CFS特有のバイオマーカーの発見が望まれている。

 研究グループは、まずME/CFS患者と健常者の血液を採取して比較、フローサイトメトリーという方法で細胞表面の抗原の発現を調べた。また含まれているタンパク質を網羅的に調べるプロテオソーム解析も行った。

 結果、ME/CFS患者の血液中に細胞外小胞が多く含まれていることがわかった。細胞外小胞とは、すべての細胞から放出される極めて小さな粒子で、その中にはタンパク質や核酸が含まれており、細胞同士のコミュニケーションに利用されていると考えられている。

 さらに、この細胞外小胞の成分を解析。すると、ME/CFS患者には、細胞の形を維持するのに重要な、フィラミンやタリンを含むアクチンネットワークの構成タンパク質が多く含まれていることがわかった。これは半年以内の疲労症状を伴う(亜急性疲労)患者や、うつ病患者と比較して高い数値だった。

 以上の結果により、血中の細胞外小胞のアクチンネットワークタンパク質が、ME/CFS診断のバイオマーカーになる可能性が示唆された。この新規バイオマーカーにより、これまで難しかったうつ病患者や亜急性疲労患者と客観的に診断の判別ができるようになると考えられる。

 今後アクチンネットワークのタンパク質放出のメカニズムが明かになれば、ME/CFS発症のメカニズムの解明、さらには治療法の開発へとつながっていくことが期待できる。

 研究チームは今後、このタンパク質が異なる人種でもバイオマーカーとして有用かを検討していく予定で、一般の医療機関でも利用できるような実用化も進めていくとしている。

 研究の成果は、11月26日のBrain, Behavior and Immunityにオンライン掲載された。(記事:室園美映子・記事一覧を見る

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