星光PMCは戻り試す、19年12月期大幅増益予想で3Q累計順調

2019年11月15日 09:04

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 星光PMC<4963>(東1)は製紙用薬品事業、印刷インキ用・記録材料用樹脂事業、化成品事業を展開し、次世代素材セルロースナノファイバー(CNF)の拡販も推進している。19年12月期大幅増益予想である。第3四半期累計は大幅増益と順調だった。通期ベースでも収益拡大を期待したい。株価は安値圏モミ合いから上放れの動きとなった。戻りを試す展開を期待したい。

■製紙用薬品、印刷インキ用・記録材料用樹脂、化成品を展開

 DIC<4631>の連結子会社で、製紙用薬品事業、印刷インキ用・記録材料用樹脂事業、化成品事業(子会社KJケミカルズ)を展開している。18年12月期売上高構成比は製紙用薬品事業67%、印刷インキ用・記録材料用樹脂事業20%、化成品事業14%だった。

■21年12月期営業利益30億円目標

 新中期経営計画「New Stage 2021」では主要戦略として、環境経営の実践、収益性向上のための製品ポートフォリオ変革、海外事業の拡大、次世代素材セルロースナノファイバー(CNF)や銀ナノワイヤー(AgNW)の事業化推進に向けた技術革新・用途開発の加速、新綜工業の業容拡大とグループ内でのシナジー創出などを掲げている。

 目標数値には21年12月期の売上高320億円、営業利益30億円、営業利益率9.4%、海外売上高比率30%以上、Green Index(独自に定義した環境戦略製品売上高の18年12月実績を100とした指数)126を掲げている。セグメント別には、製紙用薬品事業の売上高185億円で営業利益(連結調整前)19億87百万円、樹脂事業(CNF、AgNW、新綜工業を含む)の売上高92億円で営業利益9億41百万円、化成品事業の売上高43億円で営業利益4億64百万円としている。

 19年1月には新綜工業(台湾)の株式を追加取得して連結子会社化した。19年7月にはベトナムに製紙用薬品製造・販売の現地法人を設立(21年中の工場竣工・稼働目標)すると発表した。

■CNF複合材料の拡販推進

 次世代素材CNFは、すべての植物の植物細胞壁の骨格成分であるセルロースをナノサイズまで細かくほぐすことによって得られる繊維である。鋼鉄の5分の1の軽さで5倍以上強く、熱による変形が少ないなどの特徴がある。樹脂の補強材として機能させることで、自動車用樹脂の強度向上や金属部材からの置き換え、家電・モバイル機器の軽量化などでの需要が期待されている。

 18年1月CNF複合材料「STARCEL」ブランドでの商業生産・製品出荷を開始した。

 18年6月には世界初のCNF強化樹脂応用製品の商品化として、アシックス<7936>の高機能ランニングシューズ製品のミッドソール部材の原材料に「STARCEL」が採用され、全世界で累計500万足以上販売されている。19年9月には「STARCEL」が、京都大学、京都市産業技術研究所とともに、第2回エコプロアワード奨励賞を受賞した。19年10月には「STARCEL」が、環境省NCV(Nano Cellulose Vehicle)プロジェクト製作のコンセプトカーに採用された。

 銀ナノワイヤーは、直径がナノサイズ、長さがミクロンサイズの繊維状の銀を溶液中に分散させて透明導電性電極を形成し、ウェアラブル端末や大型ディスプレイへの利用が期待されている。

■19年12月期大幅増益予想で3Q累計順調

 19年12月期連結業績予想(8月7日に売上高を下方、各利益を上方修正)は、売上高が18年12月期比5.4%増の272億80百万円、営業利益が24.4%増の24億50百万円、経常利益が21.2%増の25億20百万円、そして純利益が15.9%増の18億10百万円としている。配当予想は18年12月期と同額の16円(第2四半期末8円、期末8円)である。

 第3四半期累計は売上高が前年同期比8.6%増の207億40百万円、営業利益が38.4%増の19億49百万円、経常利益が31.1%増の19億62百万円、純利益が21.3%増の13億97百万円だった。19年1月連結子会社化した新綜工業(台湾)も寄与して増収となり、増収効果と原価低減効果で大幅増益だった。

 製紙用薬品は中国における売上減少で1.1%減収だが、原価低減で13.6%増益だった。樹脂は新綜工業(台湾)の新規連結で36.7%増収となり、製品販売構成の高付加価値化進展も寄与して2.9倍増益だった。化成品は主力製品の輸出売上増加で16.0%増収、21.7%増益だった。

 第3四半期累計の進捗率は売上高76.0%、営業利益79.6%と順調である。通期ベースでも収益拡大を期待したい。

■株価は戻り試す

 株価は安値圏モミ合いから上放れの動きとなった。基調転換して戻りを試す展開を期待したい。11月14日の終値は890円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS59円69銭で算出)は約15倍、今期予想配当利回り(会社予想の16円で算出)は約1.8%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS795円23銭で算出)は約1.1倍、時価総額は約274億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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