株式市場が持つ顔は、極めて多面的である。
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上場株式の中には、日々の回転売買で数%も上下動させられる企業(株)も少なくない。確かにそれも投資ではあろう。例えば、原弘産(11月11日付けでREVOLUTION)。
私はかつて10年ほど、会社四季報の外部ライターを務めたことがある。同社はその折に担当した1社。詳細は四季報に譲るが「(現在は撤退しているマンション分野への)過剰投資」を引き金に、「継続前提に疑義注記」と不名誉な状況を背負わされるに至った不動産賃貸・仲介企業である。
今年の初値9円、至る9月まで高値15円/安値8円。いわゆる「倒産株価」。だがこの間、1日の出来高が249万株を超えた日もある。まさに「1買い2やり」に晒され続けてきた。微妙な変化が起こったのは10月半ば以降。水準を切り上げ始めた。本稿作成中の時価は年初来高値(84円)水準。
大きな陽線が発現し急伸したのは「新しい事業:投資事業進出」を発表した11月1日前後から。親会社:EVOFUNDの関連会社が運用するSPCが募集する新外国投資証券を引き受ける、というのがその内容。ちなみにEVOFUNDが5%超の大株主となっている企業には中村超硬・テラ・小僧寿し・ピクセラなど「疑義注記」組が名を連ねている。真に旧原弘産が立ち直りの事業に遭遇したのかには、大きな?を禁じえない。
株式市場は、時流を反映する側面(顔)も有する。「AI」「IoT」といった言葉を耳にしない日はないが、いま株式市場で人気化しつつある3文字が「RPA」。日本語に置き換えづらいがあえて言えば、「ソフトウエア型ロボットによる、ホワイトカラー業務の効率化・自動化システム」。
兜町筋は「新しいテーマ」とはやし、営業材料にしようとしている。周知の通り生産ライン(現場)ではロボット導入による作業の効率化・合理化が進んでいる。いわばその「ホワイトカラー」版。兜町の住人が関連銘柄を指折り数える時に大方がいの一番に口にするのが、昨年3月末に鳴り物入りで東証1部に上場したその名も「RPAホールディングス(RPAHD)」。
目下の主軸事業は、ビズロボと呼ばれるソフトウエア型ロボットのアウトソーシング。RPAHDではその魅力を「(労働力不足が社会問題化する中)辞めない・働き続ける・変化に強く間違いを繰り返さない」とし、「既に官公庁や有力企業で導入が進み、導入企業の中には年間の事務処理時間が2万時間削減されたケースもある」とする。確かに、注目を集めて不思議でないテーマ。
だが今2月期は「71.2%増収(140億1600万円)、67.9%営業増益(16億300万円)、66.6%最終増益(9億3100万円)」計画で立ち上がるも、中間期実績は「47億7600万円、3億4600万円、9000万円」。PRAHDでは主軸事業:前年同期比22.3%増収、営業減益18.0%を引き合いに「裾野拡大を意図に“ビズロボットミニ”の導入、人材の積極的採用や事業開発の先行投資負担」と想定を大幅に下回る3-8月期を説明し通期計画を据え置いている。
ただ本稿作成中の時価は年初来高値3310円に対し1200円台前半と中間期を反映した形。が、担当アナリスト達の見方を示すIFIS目標平均株価は依然2250円と「上値余地十二分」。
株式投資の本道は「成長株投資/中長期保有」と考えるが、日々の株式市場との付き合い方は決して一様かつ安易ではない。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
関連キーワードロボット、IoT(Internet of Things)
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