早大ら、単層カーボンナノチューブをより長く成長させる新触媒開発 実用化へ加速

2019年11月14日 17:23

小

中

大

印刷

 (a) コンビナトリアル手法によるガドリニウム(Gd)の勾配をつけたサンプルの模式図。(b)コンビナトリアル手法によるサンプルのCNT成長後の写真(画像: 早稲田大学の発表資料より)

(a) コンビナトリアル手法によるガドリニウム(Gd)の勾配をつけたサンプルの模式図。(b)コンビナトリアル手法によるサンプルのCNT成長後の写真(画像: 早稲田大学の発表資料より)[写真拡大]

写真の拡大

 早稲田大学等の共同研究グループは8日、これまで使われてきた鉄触媒に微量のガドリニウムを添加することによって、単層カーボンナノチューブをより成長させ長尺化することができる触媒の開発に成功したと発表した。研究グループではさらに研究を進め、高強度素材、電子部品、環境分野等さまざまな分野における単層カーボンナノチューブの実用化に弾みをつけたい考えだ。

【こちらも】夢の新素材「カーボンナノチューブ」、裂けにくい幾何構造を特定 名大など

■カーボンナノチューブとは?

 カーボンナノチューブはその名のとおり、炭素原子でできたナノメートルサイズのチューブだ。炭素原子が1層の単層カーボンナノチューブと、2層以上になった多層カーボンナノチューブの2種類がある。ちなみに私達のDNAの幅は約2nmほどだ。カーボンナノチューブの直径はこれに匹敵する。

 これらの2つのカーボンナノチューブのうち、性能的には単層カーボンナノチューブの方がより優れている。その性能は、重さはアルミの半分程度と軽量でありながら、強度は鋼の20倍、熱伝導性は銅の10倍、電気伝導性は銅の1000倍にも及ぶ。そのため、高強度素材、電子部品、環境分野等さまざまな分野での実用化が期待されている。

 しかし、これまで単層カーボンナノチューブの実用化にはいくつか難しい問題があった。その1つが、単層カーボンナノチューブの成長中に鉄触媒の構造が変化し、単層カーボンナノチューブの成長が止まってしまうために、その長尺化が難しいという問題だ。長尺化できなければ、用途が限定されてしまうし、大量生産によってコストを下げることも難しくなる。

■鉄触媒にガドリニウムを微量に添加

 そこで、研究グループは鉄触媒に微量のガドリニウムを添加した。ガドリニウムは多層カーボンナノチューブについてはその成長に有効であることがすでに解っている。

 するとその結果、ガドリニウムが、単層カーボンナノチューブが成長中の鉄触媒の構造変化を抑制し、鉄触媒の寿命を最大で3倍にまで伸ばすことが解った。ちなみにガドリニウムは鉄触媒の下に層状に存在することになるが、その最適な厚さは0.3nmになる。

 こうして、研究グループは、単層カーボンナノチューブをより成長させ、長尺化する触媒の開発に成功した。

 研究グループでは、さらに研究を続け、より効率的に単層カーボンナノチューブを成長させ長尺化できる触媒を開発し、高強度素材、電子部品、環境分野等さまざまな分野における単層カーボンナノチューブの実用化に弾みをつけたい考えだ。

 なお、この研究成果は11月1日付で『ACS Nano』にオンライン掲載された。(記事:飯銅重幸・記事一覧を見る

関連キーワード早稲田大学DNA

広告