MRJ改め三菱スペースジェット 飛べない鳥になってしまうのか?

2019年11月12日 12:01

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「スペースジェット」(画像: 三菱航空機の発表資料より)

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 嫌な予感がしてくる。「また時、遅し」となってしまうのか。「三菱スペースジェット(旧MRJ)」の6度目の納入延期が、現実味が帯びてきている。180機余りで生産中止となってしまった国産旅客機YS-11を思い出してもらいたい。私はその現場にいて、Y-X計画までもボーイングに持ち去られてしまった悔しさを忘れられない。

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旅客機開発は「設計変更の歴史」でもあると言われてきた。設計変更を効率的に管理できないと、量産に入ってもコストを吸収できなくなるのだ。ボーイングはこの設計管理においては世界で抜きんでており、747ジャンボジェットを成功させたのだ。

 三菱航空機は10月21日、日本経済新聞が報じた納入延期に関して、それは「会社側の発表ではない」としている。しかし、たびたびの納入延期を止めることが出来ないでいる。経験不足による「型式証明(TC)」取得の遅れに、ライバル会社からの人材引き抜きなどがあり、なりふりかまっていられない状況だ。

 日本は旅客機の量産体制についても経験がないに等しく、クルマの量産とは違ったノウハウが必要となる。かつて、YS-11の量産工場を見学していた時、ボルトをトルクレンチで1本を締めると作業者の印鑑を押していたのを思い出す。既定のトルクで確実に締めなければならず、それを当時は手仕事で行っていたのだ。さらには、トルクレンチなどのトルク測定においても、1日の作業が済めば、工具室で専門員が検査をして翌日の作業に貸し出すシステムだった。

これはある程度の精度を要する工場では、どの製造業でも行ってきたことだ。こうした地道な作業手順と、設計変更を効率よく行うことが飛行機製造には欠かせないのだ。

 飛行機と言えば「ハイテク」で華やかなものだが、製造作業としては「手作業」に近く、自動化は自動車産業などのようには進んでいない。それでも部品の不良率は小数点以下6桁になり、自動車とは比べ物にならない精度が必要なのだ。

数万点に及ぶ部品の集合体であるため、ちょっとした故障が恐ろしい結果を生むことは知られている。三菱スペースジェットは「型式証明(TC)」を早くとり、これから量産体制をとらねばならないが、この量産体制もまた一仕事だ。

 こうしているうちに、競合他社との統合が進んできている。これにも三菱重工は勝たねばならない。ボンバルディア・エアロスペースが製造しているリージョナルジェット機「CRJ」事業買収が技術の獲得に大きく寄与し、計画を軌道に乗せることを期待したい。しかし同時に、三菱重工にこれまで協力してきた、日本の中小企業の切り捨てにならないことを祈りたい。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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