楽天がつまずいた携帯電話への本格参入 (2) 座して待たない総務省!

2019年10月27日 11:52

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 楽天の基地局整備が大幅に遅れていることを掴んでいた総務省は、基地局整備の確実な実施と設置スピードのアップを求めて、3月と7月、8月の3度に渡って要請や行政指導を楽天に対して行って来た。

【こちらも】楽天がつまずいた携帯電話への本格参入 (1) あと5カ月で大丈夫か?

 楽天に携帯電話のシステム用周波数として1.7GHz帯の免許を割り当てた総務省の思惑は、楽天が10月から斬新な格安プランを引っ提げて、携帯電話事業に本格参入することだった。

 ところが期待とは裏腹に、基地局の整備が進まないまま10月を目前にした時期に、本格参入は、「念には念を入れて」「ホップ・ステップ・ジャンプ」の最初の段階である試験サービスに格下げされることが発表された。その上、本格参入への明確な道筋は示されず、「格安」と囃し立てる料金プランも具体的なものはない。

 こうした状況が総務省にとって、座して待つような悠長な事態でなかったことは明白だ。監督官庁が私企業の不甲斐なさを許容することは有り得ない。

 従来格安スマホは、データ通信料の分野で携帯大手の料金の半額以下という競争力を与えられていたが、音声通話料は逆に割高に設定されていた。利用者の立場に立てば、「格安」と捉える人と「どこが格安?」と受け止める人がいたりと、総合的な格安感が乏しいという弱点があった。

 一定料金で5分以内の国内通話は全て無料とするような携帯大手のプランに、対抗するプランは格安スマホに認められていなかった。ほとんどの格安スマホが従量課金となっているため、通話時間が長くなると通話料金が嵩んでしまい、”格安”が格安でない事態が起きている。

 その理由は、格安スマホが自前の設備を持たず、携帯大手から設備を借りて対価のレンタル料を支払っているシステムにある。データ通信のレンタル料が毎年のように値下がりしているのに対して、音声通話のレンタル料は値下がりしていないため、データ通信と音声通話の料金に格差が際立っていた。

 総務省は格安スマホへの回線レンタル料金に基準を策定して、通信料金の値下げにつなげる方針を固めた。問題はどこまで引き下げられるかにある。

 格安スマホ業界が望んでいた通信回線のレンタル料引き下げが実現することで、停滞感を強めていた格安スマホが活況を取り戻す可能性が出てきた。何よりも消費者の選択肢が拡大して、格安スマホを検討対象に加える局面が増加するだろう。

 楽天の携帯電話本格参入への不透明感が、予期せぬ格安スマホへの追い風を生んだ格好だ。そしてこの動きは、楽天に吹きつける逆風の風圧アップを意味する。

 既に国内の携帯市場に新規開拓の余地はほとんど考えられない。高止まりしている通信料金を下げるインパクトで、市場を開拓すると見られていた楽天が絶好のチャンスを逸し、その間隙に格安スマホが割り込んで一定の顧客獲得を進めると、楽天が手にできるパイはますます小さくなってしまう。

 緒戦でつまずいた楽天の4大キャリアへの挑戦は、どうやら怪しい雲行きになって来た。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る

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