脳への光刺激で腕の運動を誘発することに成功 東大と理研の研究

2019年10月24日 18:45

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光刺激による大脳皮質運動関連領域の機能マッピング。(画像:東京大学発表資料より)

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 コモン・マーモセットという霊長類を用いた実験で、大脳皮質運動野に光刺激を与えることで腕の運動を誘発することに成功した。東京大学の松崎政紀教授(理化学研究所脳神経科学研究センター兼任)と蝦名鉄平助教が発表した。

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 コモン・マーモセットは、アメリカ大陸で進化を遂げた南米に生息するサルで、広鼻猿類に属し、新世界ザルとも呼ばれる。マウスよりもヒトに近く、小型で飼育が容易でありまた繁殖力が高いことから、生物医学において霊長類のモデル動物として用いられるようになっている。

 大脳皮質運動野は、手や足などの運動のために用いられる脳領域であり、それぞれの身体の部位は、運動野の中の異なる領域においてコントロールされている。つまり運動野の特定領域の神経活動を亢進させると、対応する身体の一部の運動が誘発できる。

 近年では、脳の神経活動に外的に干渉するための方法として、光遺伝学を利用するようになってきている。従来の電気生理学的な方法よりも、特定の標的を特異的に、かつより細かく選んでコントロールすることができるからだ。とはいえ、過去10年間、霊長類の脳を光刺激して手足の運動を誘発することに成功した研究はなかった。

 単にサルの脳に光を照射すればそれで脳が刺激されて運動が生じるというわけではない。まず、青い光に反応するタンパク質をマーモセットの運動野に発現させ、かつ、脳の上に光ファイバーを設置、光刺激を加えるのである。すると運動が生じた。

 さらに、運動野のエリアを細かく区画として分割し、それぞれの区画を刺激したところ、刺激する場所によって異なった種類の運動が生じるということが分かった。

 研究の詳細は、米国科学アカデミー紀要に掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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