従来比で約19倍となる大量の実験用ラットを効率的に作製 京大の研究

2019年8月24日 12:24

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色素遺伝子を破壊したラットの大量作製に成功(写真:京都大学の発表資料より)

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 基礎・医学研究に幅広く活用されているラット。マウスよりも大きなラットの作製には、高い技術と予算が必要だった。京都大学は22日、ラットを高い効率で作製する技術を開発したと発表した。

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■マウスとともに実験に使用されたラット

 ラットはマウスとともに、古くから優れた実験用動物として研究に利用されてきた。また近年、遺伝子の特定の部位を編集する「ゲノム編集」等により多くのラットが作製され、ヒトの病気の原因解明や治療法の開発に貢献している。

 げっ歯類のマウスはラットと比べて、実験用のモデル動物を作製する基盤技術の整備が圧倒的に進歩している。ラットにはヒトの疾患モデル開発や記憶・学習の研究で利便性がある一方、多くの卵子を誕生させることや体外受精させることが困難だった。そのためラットにも、モデル動物を作製する基盤技術の整備が求められていた。

■従来の約19倍の卵子が誕生

 京都大学と東京大学の研究者から構成されるグループは今回、効率的にラットを誕生させる技術開発の一環として、多くの卵子を誕生させる「過排卵」の実現に焦点を絞った。実験用ラットのひとつであるBNラットは、ゲノム解析により1頭当たり平均2.2個程度しか卵子が誕生しないことが知られている。

研究グループは、ヒトの月経周期に相当する「性周期」と排卵を抑制するホルモンをコントロールすることで、平均42個もの卵子を誕生させられることを発見した。この方法により、他の系統でも排卵数を増加させることが可能だという。

 研究グループは、過排卵させた卵子で体外受精させることにも成功した。ラットの体外受精に成功した事例が存在するものの、再現できるグループはごく少数に限られていた。研究グループは体外受精の再現に不可欠な原因が安楽死であることを突き止め、麻酔下で寝ているラットから卵子を採取して、体外受精に用いた。これにより、再現よくラットを誕生させられることを見出した。

 また遺伝子の破壊や置換をラットに試した結果、自然交配による卵子を用いた場合よりも、高効率に遺伝子の破壊や置換が実現できることが判明した。

■再生医療などに貢献

 研究グループの用いた遺伝子改変技術は、高額な機器を必要としないため、訓練により容易に習得できるという。研究グループは、今回の研究成果が再生医療や絶滅危惧種の保存等に貢献するだろうと期待を寄せている。

 研究の成果は、国際学術誌Scientific Reportsオンライン版に9日付で掲載された。(記事:角野未智・記事一覧を見る

関連キーワード東京大学京都大学絶滅危惧種ゲノム遺伝子再生医療

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