最大級の恒星から誕生した超新星 天文学者を悩ませる理由とは?

2019年8月20日 18:30

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矮小銀河の中心から離れた場所で発見された超新星SN2016iet (c) Center for Astrophysics

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 2016年に欧州宇宙機関(ESA)が運営するガイア探査機によって発見された超新星「SN2016iet」。太陽の200倍の質量をもつこの星は、恒星がもちうる質量の上限に近いと考えられる。このSN2016ietを追調査した結果、これまで発見された超新星とは全く異なる特性が見いだされたことを、米ハーバード・スミソニアン天文物理センターの研究グループが明らかにした。

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■超大質量星が引き起こす特殊な超新星爆発

 太陽の130倍から260倍の質量をもつ恒星は、「対不安定型超新星」と呼ばれる爆発を発生させると予想される。通常、超新星爆発が起きると、「中性子星」と呼ばれる天体や、ブラックホールが残る。ところが、対不安定型超新星は、爆発後には何も残らない。水素やヘリウム等の軽元素以外の金属をほとんどもたない超大質量星において、光子が電子と陽電子のペアへと変換され、内側の核に向かって圧力が加わった結果、内部崩壊が引き起こされる。このため、超大質量星は跡形もなく破壊される。

 研究グループは、SN2016ietの発見以降、米アリゾナ州に位置するフレッド・ローレンス・ウィップル天文台のMMT望遠鏡や、チリ・ラスカンパナス天文台のマゼラン望遠鏡で追観測を続けていた。その結果、過去数十年にわたって観測された数千もの超新星爆発とは異なることが判明した。

■誕生しえない場所にあるSN2016iet

 研究者を悩ませるのは、対不安定型超新星であるSN2016ietが、爆発後も残っている点である。SN2016ietは、最終的な超新星爆発が発生するまでの約100万年の寿命の間に、約85%の質量を失ったとみられる。また複数の爆発の兆候も観測されている。

 恒星の別の層で発生した爆発の残骸が最終的な爆発で崩壊し、その物質がSN2016ietの奇妙的な姿を生みだしたと予想される。研究グループによると、SN2016ietは対不安定型超新星としては初めてとなる強力な事例だという。

 もう一点研究者を悩ませるのが、SN2016ietの場所だ。超大質量星は密集した星団内で生まれたと予想される。ところが、SN2016ietが存在するのは、地球から数十億年離れた未発見だった矮小銀河の中心から、5万4,000光年も離れた外縁だ。大質量星は連星系を形成するケースが多いが、矮小銀河の中心部に位置する場所からSN2016ietが弾き飛ばされたと想定しても、短い寿命のあいだに外縁まで移動したと考えるのは難しいという。

 「この超新星は、時間とともに明るさが変化したり、スペクトルや(SN2016ietが存在する)銀河の様子、その位置など、あらゆる点で特異だ」と、研究グループのひとりであるハーバード大学のエド・バーガー教授は述べている。

 研究グループは今後、SN2016ietの観測をさらに数年間続け、どのように形成されたかについての手がかりや、どう進化するかを追調査するとしている。

 研究の詳細は、米天文物理学誌Astrophysical Journalにて15日に掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る

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