ホンダ副燃焼室エンジン、数年で実用化へ 熱効率50%を目指して

2019年8月19日 10:07

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 ホンダは、「プレチャンバー(副燃焼室)方式で、超希薄燃焼(スーパーリーンバーン)を実現。数年で実用化を目指す」と発表した。薄い空気で燃焼させれば燃費が良くなるのは道理だが、なかなかうまく燃えてくれない。

【こちらも】中国、環境車規制・新エネルギー車「NEV」を大転換 ハイブリッド車優遇へシフト

 マツダは、「SPCCI (Spark Controlled Compression Ignition)火花点火制御圧縮着火」と称する方法で、超希薄燃焼(スーパーリーンバーン)を実現。マツダ・スカイアクティブ-Xエンジンと称して、マツダ3から搭載を始める。

 ホンダは、その超希薄燃焼(スーパーリーンバーン)を、「プレチャンバー(副室)ジェット燃焼」と称して実現しようとしている。モータースポーツのF1などで実験が続けられてきたが、いよいよホンダも実用化のめどがたってきたようだ。

 「プレチャンバー(副室)」と言えば、ホンダ創業者・本田宗一郎とシビック「CVCC」エンジンを思い出す。世界のメーカーが消極的だった排気ガス規制について、ホンダは触媒を使わず、世界に先駆けて当時の規制を「CVCC」でクリアしてみせた。それを見倣って、大手自動車メーカーは排気ガス規制を受け入れるようになるなど、世界情勢を変えた懐かしい技術だったのだ。

 ホンダは、その「プレチャンバー(副室)」をもう一度採用して、熱効率50%の夢をかなえようとしている。41%ぐらいが現在の世界的レベルであり、マツダの「SPCCI」でも現状では45%程度である。50%は大変高い目標だが、実験室、F1レースなどでは実験が進んでいた。

 マツダに一足先を行かれてしまったが、画期的技術であることは間違いない。ますます厳しくなる環境規制に対して、今は亡き本田宗一郎の発想に頼ることが逆に新鮮でもある。現実には、火花着火の技術などでも、本田宗一郎の時代より大幅に進歩していると考えるべきなのだろう。

 プレチャンバー(副燃焼室)から噴き出す炎によって短時間で燃焼させるホンダの技術は、マツダのSPCCIよりも幅広い領域でスーパーリーンバーンを実現できるようで、将来への広がりも大きいかもしれない。これをホンダの切り札とするには生産方式のシステム化も必要で、今後進めていけることを祈る。

【参考】ホンダ高熱効率エンジン CVCCエンジンを彷彿させるプレチャンバー・ジェット燃焼

【参考】ガソリンエンジンが良い! (8) ホンダは 「HCCI」を中断 プレチャンバー・ジェット燃焼へ

 上の記事もご覧いただきたい。この精密な技術レベルのエンジン開発は、日本にしかできないものかもしれない。この技術に追いつけないと考え、中国はEVにシフトしたのだ。さて、日本は「ガラパゴス現象」となってしまうのか、やはり発電効率を上回りエンジンが息を吹き返すのか?これから数年が見ものである。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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