地球外天体からのサンプル回収、アポロ11号からMars 2020へ

2019年8月15日 14:06

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米カリフォルニア州パサデナにあるNASAの施設でMars 2020のローバーのテストを行う様子 (c) NASA/JPL-Caltech

米カリフォルニア州パサデナにあるNASAの施設でMars 2020のローバーのテストを行う様子 (c) NASA/JPL-Caltech[写真拡大]

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 1961年5月にケネディ大統領が国民に向けて発した「1969年の終わりまでに人間を月面に着陸させる」という壮大なミッションは、1969年7月24日にアポロ11号によって見事達成された。

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 1963年11月22日に凶弾に倒れたケネディ大統領は、その偉業を見届けることができなかったが、アポロ11号は月から約21.5kgの石のサンプルを持ち帰ることに成功した。

 このサンプルは、月だけでなく太陽系の成立の様々な謎の解明に役立ってきたことは言うまでもない。アポロ11号の偉業は、実際に地球外の天体から大量のサンプルを持ち帰ることに人類史上初めて成功したというだけでない。21世紀の最新技術を駆使した分析が今なお継続され、長期間にわたって、人類の科学進歩のために数えきれないほどの貴重な情報をもたらしてきたことに意義がある。

 他の天体に降り立った探査機が様々な観測をし、そのデータを地球に送り届ける方式と比べて、他の天体から直接サンプルを持ち帰って、地球上で様々な技術を駆使して分析する方式のほうが、得られる成果がけた違いに大きいこともアポロ11号のミッションが証明して見せた。

 「Mars 2020」はNASAが2020年に打ち上げを予定している火星探査ミッションで用いられる火星ローバーの名称で、キュリオシティの後継機種にあたり、火星からのサンプル回収を目指している。

 ローバーとは探査車のことで、NASAはアポロ15号、16号、17号のミッションで3台のローバーを月面に送り出した事績を持っている。これらは遠隔操作ではなく、宇宙飛行士が直接操作する方式だった。

 いっぽうMARS2020は無人探査機で、ロボットが火星からのサンプルを持ち帰る計画となっており、アポロ時代の技術と比べものにならないほどの新しい高度なテクノロジーが採用されている。

 Mars 2020が火星に降り立つのは、2021年2月18日の予定だが、もしサンプルの持ち帰りに成功すれば、アポロ11号の成し遂げた偉業と同等以上の様々な情報が人類にもたらされるであろう。特に火星に誕生したかもしれない生命の存在の証拠を確認するには、これ以上ない有益な情報源となるはずである。

 Mars 2020によってもたらされる火星サンプルは、その先に計画されている人類往復ミッションにも役立てられる。またMars 2020そのものの火星におけるミッションでも、火星表面におけるダストの危険防止のための情報収集や、ロケット燃料などに使える可能性が示唆されている二酸化炭素の回収分析なども計画されている。

 JAXAがはやぶさのミッションで成し遂げてきた偉業に、NASAも少なからず刺激を受けてきたはずである。それらのミッションを直接天秤にかけて比較することは難しいが、小惑星からのサンプルリターンに必要な技術と、火星のような比較的重力が大きい天体におけるサンプルリターンとでは、要求される技術そのものが全く異なる。

 だがいずれにしても我々一般人にとって、世界各国のミッションが宇宙探査にしのぎを削る状況をまじかで見られる状況は、非常に歓迎すべきことではないだろうか。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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