位置天文衛星「ガイア」が軌道変更 銀河系の詳細構造解明に向けて ESA

2019年7月17日 07:40

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2018年4月25日に公開された詳細な銀河系の立体地図 (c) ESA

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 ESA(欧州宇宙機関)は15日、位置天文衛星「ガイア」の軌道変更操作を7月16日に実施すると発表した。

【こちらも】ハッブル宇宙望遠鏡とガイア衛星から銀河系の質量を測定 その方法は

 ガイアはESAが開発し、2013年に打ち上げられた衛星だ。私たちの銀河の最大の三次元地図である天の川をチャートにして、10億以上の星を調査するという使命を帯びており、2018年4月25日に、ESAはガイアによる観測データをもとに作成した詳細な銀河系の立体地図を公開している。

 打ち上げからこれまで、ガイアは太陽から見て、地球の裏側に静止する軌道を維持してきた。地球と太陽という質量が大きな天体との重力バランスで人工衛星が静止できるポイントが5カ所ある。これをラグランジュポイントと言い、L1、L2、・・のように表している。

 L1は太陽と地球の間にあるため、ここにガイアを静止させた場合、太陽光が邪魔をして、銀河の星々を観測できない。いっぽうL2は地球の公転軌道の外側で、太陽光を地球が覆い隠す位置にあるため、太陽光に邪魔されることなく銀河の観察ができる。

 7月16日に実施する今回の軌道変更操作の目的は、ガイアに搭載された精密機器である太陽電池と、望遠鏡を太陽光から守ることにある。8月と11月に地球の影が小さくなり、ガイアが太陽光にさらされるタイミングが訪れることがわかっている。

 太陽光がこれらの観測機器に当たると、一時的に温度が急上昇してしまう。この温度変化が完全に収まるまでは、数週間を要し、貴重な観測時間の重大ロスをもたらすことになる。今回の軌道遠隔操作では、衛星を回転させずに軌道修正することで、太陽光が観測機器に直撃しないようにすることが最大のポイントである。

 もし、この軌道遠隔操作を実施しなかった場合、太陽光がガイアの観測機器を直撃し、致命的なダメージを受け、その後の観測続行が不可能になる。これまでガイアのもたらしたデータは、人類に800以上の貴重な学術論文を生み出させた。

 ガイアがこれまでに切り拓いてきた位置天文学は、星の動きや、星までの距離を正確に測定することで、銀河の構造や過去から現在あるいは未来の姿を明らかにすることを目的にした学問分野である。

 実は私たちはガイアが様々なデータをもたらす以前は、銀河系の本当の姿についてあまりよく知らなかった。ガイアの今後の活躍にも期待したい。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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