体内時計を調節する神経機能を特定 睡眠障害などの治療薬に期待 名大など

2019年6月25日 18:39

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GABA機能を欠損させたマウスで確認された体内時計の乱れ(画像:北大の発表資料より)

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 睡眠障害や精神疾患、糖尿病などのリスクを高くする体内時計の乱れ。脳内の体内時計を調節する神経のメカニズムが、名古屋大学、北海道大学、群馬大学から構成される研究グループにより判明した。

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■体内時計をつかさどる脳の部位
 人間の睡眠サイクルは、1日24時間ごとに繰り返される。この24時間のリズムを統制するのが体内時計であり、その中枢はホルモンを分泌する働きをもつ視床下部の最底部にある「視交叉上核」に存在する。

 視交叉上核には、約4万5000個の神経細胞が集まる。その大半が天然アミノ酸のひとつであるガンマ-アミノ酪酸(GABA)を遊離する細胞である。GABAは自律神経を整える機能をもつ神経伝達物質であり、安眠や血圧低下に役立つことが確認されている。その一方で体内時計をつかさどる視交叉上核でのGABAの機能は明らかにされてこなかった。

■神経伝達物質が体内時計を狂わせる
 研究グループは、GABAを輸送する部位(トランスポーター)が欠損したマウスを使って実験を試みた。実験では、体内時計を制御する時計遺伝子や細胞内のカルシウムイオン、神経の活動を同時に計測したという。

 その結果、マウスの視交叉上核からは時計遺伝子が刻む体内時計のリズムの異常は発見されなかった一方で、神経細胞間でのインパルスの自発的な発火や細胞内のカルシウムイオンの上昇が確認された。

 研究グループはこの実験結果から、GABAが細胞内のカルシウムイオンや神経活動に大きな影響を及ぼすと考え、検証をさらに実施した。GABA機能を欠損させたマウスを使い、自発的な行動量を計測した結果、マウスの行動量は低下し、体内時計のリズムの変調が確認されたという。

 研究グループは、今回の成果により体温調節やホルモン分泌等の生理機能の調節に関わる神経の経路が明らかにされ、睡眠障害等の体内時計に関与する疾患の治療法の開発が期待されるとしている。

 研究の詳細は、英科学誌Communications Biologyオンライン版にて21日付で掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る

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