フレキシブルな強誘電性結晶を開発 環境にやさしいセンサー材料に期待 北大

2019年6月21日 09:30

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北海道大の研究グループが開発した柔粘性/強誘電性結晶(写真:北大の発表資料より)

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 北海道大学は19日、「強誘電性結晶」と呼ばれる、圧力を加えると変形する柔らかい機能材料を開発したと発表した。強誘電性結晶は鉛を使用せずに環境に配慮した素材であるだけでなく、曲がるディスプレイなどフレキシブルデバイス市場が活況を呈することなどから、さまざまな用途での活用が期待される。

■エレクトロニクス製品に利用される強誘電体

 くぎは磁石に近づくと、くぎの片方がN極、反対側がS極になり、一時的に磁石になる。これは、磁場の影響で釘の内部で分極が発生するのが原因である。これに似た電気的な現象をもつのが、誘電体である。電圧を加えると電気分極が起き、電気を蓄える特性を誘電体はもつ。

 とくに、電圧をかけなくても電気が分極した状態にあり、なおかつ一定以上の電圧をかけると分極の向きが変わる誘電体は、強誘電体と呼ばれる。一定以上の電圧をかけるまで、分極状態を保持することから、不揮発性メモリなどに用いられる。

 誘電率が高く多くの電気を蓄えられるのが、強誘電体だ。コンデンサーなど現在広く実用化されている強誘電体は、無機酸化物のセラミクス強誘電体である。セラミクス強誘電体はコンデンサーや不揮発性メモリ、赤外線センサーなどの材料として幅広く活用されているものの、有害な鉛を含むという問題を抱えている。そのため、無害な強誘電体の開発が望まれていた。

■固体と液体の中間的性質をもつ素材

 研究グループは2016年に開発した「柔粘性/強誘電性結晶」を改良した、新しい機能材料の開発に成功した。1-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタンと過レニウム酸との中和によって採取されるこの結晶は、小さな電圧でも分極を反転させることが可能になり、従来の柔粘性/強誘電性結晶よりも産業利用が容易になるという。

 またこの結晶は、50度以上で加圧すると伸びて拡がる柔粘性をもつ。粉末を固めた材料でも100度で加圧すると、さまざまな厚さや大きさの透明フィルムやディスクが作成可能だという。

 有機イメージセンサーや有機薄膜太陽電池など、フレキシブルデバイスの需要は高まっている。富士キメラ総研によると、フレキシブル採用率は2030年には7割弱になるという予測もある。研究グループが開発した柔粘性をもつ強誘電性結晶は今後、フレキシブルなエレクトロニクスデバイスに実用化されることが期待される。

 研究の内容は、Journal of the American Chemical Societyにて4日付で掲載された。(記事:角野未智・記事一覧を見る

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