天の川銀河中心にあるブラックホールの活動、磁場が制御か NASAの研究

2019年6月14日 17:29

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天の川銀河中心のブラックホール周辺の磁場の流れを重ね合わせた画像。中心へと流れる磁場(青線)のほかに、周辺へと誘導する磁場(ピンク線)が確認される。 (c)  Dust and magnetic fields: NASA/SOFIA; Star field image: NASA/Hubble Space Telescope

天の川銀河中心のブラックホール周辺の磁場の流れを重ね合わせた画像。中心へと流れる磁場(青線)のほかに、周辺へと誘導する磁場(ピンク線)が確認される。 (c) Dust and magnetic fields: NASA/SOFIA; Star field image: NASA/Hubble Space Telescope[写真拡大]

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 米航空宇宙局(NASA)は12日、天の川銀河の中心に位置するブラックホールの活動が静的なのは、磁場が原因であるという研究を報告した。遠赤外線天文学成層圏天文台(SOFIA)からの観測で、今回の事実が判明した。

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■物質を吸い込むブラックホール

 大部分の銀河の中心には、太陽の質量の10万倍から10億倍もの超大質量ブラックホールが存在する。ブラックホールは強い重力により物質を吸い込み、結果として強いエネルギーを放射する。われわれの住む天の川銀河の中心にも超大質量ブラックホールが「いて座A*」付近に存在するものの、ほかの銀河のブラックホールと比較して活動が穏やかだという。

 いて座A*に位置する超大質量ブラックホールの不可解な挙動を確かめるために、NASAの研究員らが着目したのが磁場である。磁場は荷電粒子の経路に影響を及ぼす目に見えない力であり、宇宙に存在する物質の運動や進化に重要な役割を果たす。ところが磁場を直接撮像できないため、その役割は十分に理解されなかったという。

 研究グループは、ブラックホール周辺の磁場を観測するために、NASAと独航空宇宙センターが共同管理する飛行天文台SOFIAを使用した。SOFIAには、「HAWC+」と呼ばれる遠赤外線とその偏光を撮像可能な装置が搭載されている。宇宙空間の塵が放射する偏光した遠赤外線を検出できるHAWC+の特性を利用し、ブラックホール周辺の磁場が計測された。

■ブラックホールの活動を制御する磁場

 研究グループはSOFIAから収集されたデータをもとに、磁場の形状を地図に表し、その強さを導出した。その結果、磁場がガスの乱れを制限するのに十分な強さであることが判明した。

 ブラックホールに塵やガスが吸い込まれるよう磁場が誘導するならば、ブラックホールは活動的である。他方、ブラックホール周辺の軌道へと磁場が誘導するならば、ブラックホールの活動は穏やかである。研究グループは、磁場の向きを可視化した流線と、中赤外域および遠赤外域の撮像とを重ね合わせた。その結果、ブラックホールへと塵を誘導する磁場のほかに、ブラックホールを囲むリングの縁へと導く磁場が存在することが明らかになった。

 「(今回の成果により)天の川銀河中心のブラックホールが他と異なり穏やかな理由が説明できる」と、NASAジェット推進研究所のダレン・ドゥウェル氏は語る。

 今回の研究成果は6月に開催の米天文学会にて発表され、米天文物理学誌Astrophysical Journalに論文を投稿予定だ。(記事:角野未智・記事一覧を見る

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