攻めのIT経営銘柄2019、選定29社に学ぶ攻めるIT活用とは?

2019年5月6日 22:32

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記事提供元:エコノミックニュース

2019年4月23日に「攻めのIT経営銘柄2019」発表会が行われた(経済産業省提供)

2019年4月23日に「攻めのIT経営銘柄2019」発表会が行われた(経済産業省提供)[写真拡大]

 経済産業省と東京証券取引所は4月23日、「攻めのIT経営銘柄2019」選定企業29社を発表した。「攻めのIT経営銘柄」とは、優れた「攻めのIT経営」を積極的に行い、中長期的な視点から企業価値の向上を重視する投資家にとって魅力のある企業を選定するもので、今回で第5回目の実施となる。

 選定に当たっては、東京証券取引所に上場する全ての企業に対して経済産業省が「攻めのIT経営に関するアンケート調査」を実施。「経営方針・経営計画における企業価値向上のためのIT活用」「企業価値向上のための戦略的IT活用」など、5つの項目と財務状況についてスコアリングが行われた後、選考委員会の最終選考を経て選出された。

 とくに今回は、 データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズに根差した、ビジネスモデルの変革や、業務の変革などで、競争上の優位性を確立することを目指すデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する企業が高く評価され、銘柄選定企業の中から最優秀企業としてANAホールディングスが「DXグランプリ」に輝いた。 

 同グループでは、空港業務の自動化や省力化による「SimpleでSmartな空港の実現に向けて」の取り組みや、顧客向けデジタルサービスプラットフォームの整備、さらには遠隔地に置かれたロボットに意識、技能、存在感を瞬間移動させることで、リアルタイムなコミュニケーションおよび作業を実現する「ANA AVATARプロジェクト」などを積極的に推進しており、確かにこれまでよりも一歩進んだ攻めの姿勢がうかがえる。

 今回で3度目の「攻めのIT経営銘柄」に選ばれた積水ハウスは、企業価値向上への寄与、中でも生産性、収益性の向上が高く評価された。同社の「邸情報プロジェクト」は住宅の開発から設計、生産、引き渡し・アフターサービスまでの「コア情報一元化」を実現するもので、情報活用による革新的な生産性向上と大幅な業務の効率化によって働き方改革にも貢献。また、DXへの取り組みも積極的で、IoT技術を駆使して住まい手のデータや住環境データをもとに健康など、人生100年時代の幸せをアシストする「プラットフォームハウス構想」や「ブロックチェーンを活用した不動産管理システム」なども大きな評価につながった。

 衛生用品大手のユニ・チャームは、今年春に操業を開始した、同社の国内4拠点目となる九州工場に、既存の自社工場にはない様々な自動設備の搭載やIoTを導入することで、最先端のスマートファクトリーとしたことや、それと並行して、九州工場に併設する物流センターに自動倉庫設備や自動ローディング機器等を導入し、スマートロジスティクスを実現したことが評価されている。

 今や、IT技術の導入は企業としては当たり前の世の中だ。とはいえ、その便利な技術を効率的に活用し、業務の発展にまでつなげられている企業はまだまだ少ないのではないだろうか。最先端の技術を導入し、膨大な情報を収集しただけで満足していても、それは本当のIT活用とはいえない。

 「攻めのIT経営銘柄2019」に選定された全29社は経済産業省のサイトで公開されている。これらは投資家にとっても有益な情報であるとともに、今後の事業の発展のために「攻めのIT経営」を目指す多くの企業にとっても、大いに役立つのではないだろうか。(編集担当:藤原伊織)

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