副業解禁は地方経済に活力を与えるか

2019年5月5日 10:35

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 地方経済の活性化は、令和になっても変わらず、日本経済の重要なテーマだろう。

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 最近話題となることが多い副業解禁だが、その中心にいるのは都会の労働者達だ。地方経済と副業をリンクさせた議論は、まだまだ不足しているというのが現状だ。副業解禁によって、地方経済にどのような可能性が見出せるのか、考えていきたい。

■副業人材は長期的な解決策ではない

 地方企業は、副業解禁によって生まれた、都会の人材を活用できるようになった。実績とスキルのある人材を、パートタイムといえども、事業に加えられる。これは、人手不足に悩む地方企業にとっては、大きな価値になるはずだ。

 しかし、地方経済にとってはどうだろうか。将来的に考えて、地元の人材が育たなければ根本的な解決にはならない。現状を凌ぐことはできるが、副業人材は長期的な解決策にはならない。

■若者が”可能性”に触れることが重要だ

 ”閉塞感”という見えない病は、日本全体を覆って久しいが、殊更地方の症状は重い。この病は、地方在住者の、特に若者から活力を奪っていく。副業はこの薬になるのではないだろうか。

 都会のサクセスストーリーと、自らを関連させられないことが問題だ。だがICTの発達した現在では、地理的障害は大きな問題ではなくなった。若者が、副業を通して都会の仕事に触れることで、自らの可能性を見出すチャンスにできる。「自分にも何かかができる」という実感を得る機会として、副業を活用する。

 自治体や経済界は、スタートアップ企業の誘致や設立の奨励といった、下準備を整えなければならない。肥沃な土壌を用意するということだ。「何かをやりたい」若者の熱を逃がさず、地方経済に繋げるのだ。

 副業を若者の自由な発想や活力を促す機会にし、それを地方創生に結び付ける。地産の人材育成こそが、地方経済に活力を与える、長期的な解決策になるだろう。

 地方に住みながらも、「何かができる」ことが分かれば、地元に根差した企業も増える。発達したICTと物流網を駆使すれば、都会に依存しないビジネスモデルも生まれるだろう。(記事:西島武・記事一覧を見る

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