NASAの探査機インサイト、火星の「地震」を観測 史上初

2019年4月28日 21:23

印刷

火星に着陸したインサイト (c) NASA/JPL-Caltech

火星に着陸したインサイト (c) NASA/JPL-Caltech[写真拡大]

 NASAは4月24日、火星探査機「インサイト」の観測により、初めて火星での地震を検知したと発表した。4月6日に検出されたかすかな信号は火星の内側から来ているもので、風などの火星表面の現象によるものではないと考えられている。

【こちらも】探査機「インサイト」、火星表面に「地震計」設置成功 地球以外では初

■火星の内部構造
 火星は地球と同じく岩石から出来た惑星で、太陽系の惑星の中では「地球型惑星」と分類されている。現在までの観測によって、火星は地球と同様におそらく地殻・マントル・核という層構造をもっていると考えられている。

 それぞれの層の厚さ・状態(液体か固体化)は、火星の誕生から現在までの進化の過程を知るうえで重要な情報である。直接見ることが出来ない火星の火星の内部構造はどのようにして知ることができるのか。

 これまで、重力場や自転運動などの観測に基づいて、火星内部構造モデルがつくられている。地球の内部構造は主に地震の観測によって明らかになった。地震波が地球内部で屈折し、地震波が伝わらない「影」ができることから、地球には核があることが分かっている。

 火星の内部構造も地震を観測することによってより明確になるだろう。地球の地震はプレートの動きによって発生するが、火星にはプレートが無く、隕石の衝突や火星全体が冷えて収縮することによって発生する。

■火星探査機インサイト
 インサイトとは日本語で「洞察」という意味。その名のように科学的な観測によって火星の内部構造を洞察する探査機だ。

 インサイトには地震計と熱量計(温度計)が搭載されている。ドーム型の地震計は、地震波の伝わり方や到達時間を測定することで火星の内部の構成物質や層構造について調べる。地下5メートルまで伸びる熱量計は、火星の内部の熱源や熱の伝導度を測定する。

 インサイトは、2018年5月5日に打ち上げられ、同年11月26日に火星に着陸した。そして着陸から4カ月以上が経過した2019年4月6日、ついに火星での地震観測に成功する。これまで、火星で地震が観測されたことはなく、史上初の成果となる。

 インサイトはほぼ2年間にわたって火星上で観測を続ける予定であり、今後も火星の内部構造について、新たな知見が得られることが期待される。(記事:創造情報研究所・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事