マクロンの失態 やはり日本政府の陰謀? ゴーン追い落としに日本政府の影

2019年4月18日 19:23

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 「事実は小説より奇なり」。やはり、日産の背景は日本政府だったようだ。日経ビジネスによる報道で、日産自動車内部のメールが暴かれ、クーデター説が証明されてしまった。当たり前ではあるが、自動車ジャーナリストには想像できない世界観であったようで、「日本政府」の動きを認めたくないジャーナリストが多かった。自動車産業は国の大事な産業で、ある意味幸せな「車マニアの世界」とは違った攻防が裏世界で繰り広げられていることが、表面化してしまった。やむを得なかったのであろうが、日本政府の失態に近い仕草なのであろう。

【こちらも】合意なきブレグジット(1) 日産、ホンダの撤退がイギリスの致命傷となるか?

 しかし、日本政府が大事な国民の雇用を守ろうとする姿勢を評価しないわけにはいかない。「クーデター」であったことが証明されてしまったのだが、それは裁量が狭い問題であったことで、表面化することも覚悟でのことだろう。それほど「日本国民の雇用」は大事なのだ。翻って、イギリスのブレグジットで失われる雇用の大きさを推し量ると、イギリスの危機を感じざるを得ない。

 2015年に、フランス政府が日産とルノーの合併を強く望んだ時には、カルロス・ゴーン氏は防波堤となっていたようだ。その立場を変えたのは、フランス・ルノーのCEO続投の条件として、ルノーと日産の不可逆的関係構築を望まれてしまった時のようだ。フランス・マクロン大統領が急ぎすぎたと感じる。

【参考】【コストカッター、カルロス・ゴーン(7)】ルノー(フランス政府)との敵対的攻防を想定せよ

 そして2018年春、事態は再び動き出したようだ。2015年以降、経済産業省と日産は連携し始めていたようだ。初めは「カルロス・ゴーン」を支援する姿勢でいたようだが、2018年春以降、カルロス・ゴーンの不正の情報が出始め、またゴーンが合併に姿勢を切り替えてきた時、「クーデター計画」が浮上してきたようだ。経済産業省は「どの様な方法をとっても日産を守る」と公言していたようで、その情報が流れてきていた。

 検察庁が、司法取引を用いてもゴーンの不正を暴く方針になったのは、やはり日産をフランスに渡さない決意であったようだ。日産「CEOオフィス」担当の専務執行役員のハリ・ナダ氏が、重要な情報を提供したと考えられる。

 日産は現在、自動車業界大変革の時にいる。3社アライアンス構築の必要性が増す中で、ルノーは着々とプラットフォーム共通化など、開発プロセスからサプライチェーンまで3社連合の構築を急いでいる。それは、実務的には3社の不可逆的関係になって行く。

 後は資本関係だが、もう選択肢はないと言ってよいのだろう。そこで日産がルノーの株式を買い増して、離脱するストーリーまで考えていないはずはないのだ。ゴーン逮捕までしか考えていないとすれば、政治家の秘書官も務まるまい。必ず、日産の独立までのストーリーがあり、フランスのルノーは必死に防いでいると考えるのが自然だ。

 つまり、日産が攻勢に出ているということだ。「事実は小説より奇なり」とはよく言ったもので、やはり、3社アライアンスを抜けてでも、日産の独立は守ってほしいものだ。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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