【小倉正男の経済コラム】文在寅大統領:「従北」政策のアイロニー

2019年4月15日 13:43

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

■北朝鮮の「おせっかいな仲介者」という批判

 韓国の文在寅大統領の政策が行き詰まりをみせている。

 米韓のトップ会談では、トランプ大統領がいまの北朝鮮への経済制裁を継続するというスタンスを一切崩さなかった。  文在寅大統領は、対北制裁緩和をトランプ大統領に説いたわけだが、一蹴されたことになる。

 いわば、ゼロ回答だった。なんのためにアメリカまで出かけていったのか、と言われても仕方のない結果だった。

 北朝鮮の金正恩委員長からは、「おせっかいな仲介者の振る舞いをするのではなく」といった論評がなされている。「おせっかいな仲介者」とは文在寅大統領を指している。  北朝鮮は、「おせっかいな仲介者」などではなく、同じ民族の「擁護者」になれと論評している。

 トランプ大統領、金正恩委員長とも相互にふたりの個人的な関係は悪くないと発言している。トランプ大統領にしても、「おせっかいな仲介者」はいらないと言い出しかねない。「仲介者」はすでに不要になっているわけである。

■文在寅大統領の「従北」宥和政策

 「従北」路線で、「反米」「反日」の文在寅大統領だが、政策・イデオロギーでは終わっているに等しいのかもしれない。

 日本の阿倍晋三首相は、G20での日韓首脳会談を見送る検討に入ったとされている。日韓トップ会談をしても関係の改善は見込めないと判断しているわけである。  いわば見切りをつけられたわけであり、いまさら関係改善は求めないと突き放されたようなものだ。

 文在寅大統領の支持率は40%台を維持している。ただし、不支持率も40%台と拮抗している。トランプ大統領との米韓トップ会談は成果ゼロであり、この先をみれば支持率は低下するトレンドになる可能性を含んでいる。

 文在寅大統領の眼目は、「従北」というか、北朝鮮との宥和政策にほかならない。独裁などレジュームの違いを無視しての宥和は無理があり、結果的に北朝鮮に時間稼ぎを含めて利をもたらしている。

■イデオロギー先行で経済・景気は低迷

 文在寅大統領は、経済でも窮地に立たされている。柱である半導体輸出が大きく低下している。輸出先の中国は、米中貿易摩擦で景気が後退気配をみせている。

 それだけではない。中国が、「中国製造2025」でひたすら半導体の自国生産を促進している。中国が韓国から半導体を輸入する構造は、先に行くにつれ失われる趨勢になっている。  さらに世界市場でも中国製半導体が浸透をみせれば、価格面の競争などにさらされて韓国半導体にはよいことはない。

 「従北」のようなイデオロギー先行で韓国経済になにもプラスにならない政策をやっていては景気が低迷するばかりである。頭は一時的に熱くなっても、お腹が減れば頭も冷える。

 文在寅大統領の支持率が40%台に停滞しているのは経済の低迷が背景にある。  イデオロギーが先行すれば、経済はおかしくなる――。それは韓国のみならず、日本でもアメリカでも同様である。文在寅大統領は、自らの「従北」政策のアイロニーにより手痛い“反撃”を受けることになりかねない。

(小倉正男=「M&A資本主義」「トヨタとイトーヨーカ堂」(東洋経済新報社刊)、「日本の時短革命」「倒れない経営~クライシスマネジメントとは何か」(PHP研究所刊)など著書多数。東洋経済新報社で企業情報部長、金融証券部長、名古屋支社長などを経て現職。2012年から当「経済コラム」を担当)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。

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