トヨタ、元町工場で小型水素製造装置を導入 工場CO2ゼロチャレンジへ

2019年4月10日 08:33

印刷

記事提供元:エコノミックニュース

今回新たにトヨタが元町工場に導入した小型水素ステーション「SimpleFuel」、概ね1日あたり燃料電池フォークリフト7台~8台分の水素が充填できる

今回新たにトヨタが元町工場に導入した小型水素ステーション「SimpleFuel」、概ね1日あたり燃料電池フォークリフト7台~8台分の水素が充填できる[写真拡大]

 トヨタ自動車は、再生可能なエネルギーである太陽光発電の電力を活用し、水素を製造・貯蔵・供給できる小型の水電解式水素発生充填装置「SimpleFuel(シンプルフューエル」を愛知県豊田市のトヨタ元町工場に導入した。

 トヨタは2015年に公表した「トヨタ環境チャレンジ2050」の一環として、「工場CO2ゼロチャレンジ」の実現に向け、工場での水素利用を目指して水素エネルギー活用技術の開発および導入を進めている。

 「SimpleFuel」は米国IVYS Energy SolutionsとPDC Machinesの2社が共同製造した小型の水素製造ステーションで、この「SimpleFuel」は工場敷地内にある太陽光で発電した電力を利用して、水を電気分解することにより水素を製造し、さらに圧縮・蓄圧して、燃料電池フォークリフト(FCフォークリフト)に充填するまでの工程に、一貫して対応する水素ステーションだ。

 水素の製造量は、最大99Nm3/日(約8.8kg/日)で、FCフォークリフト7台~8台分の充填ができるとともに、サイズもコンパクトであるため、狭い工場などのスペースでも容易に設置でき、工場内でFCフォークリフトに充填する用途に適している。

 現在、元町工場では、FCフォークリフトの導入拡大に伴い、2018年3月に本格的な水素ステーションを稼働させているが、今後の水素の需要増を見据えて、「SimpleFuel」の活用により、水素供給の充実を図る。これによってトヨタは、元町工場におけるCO2排出削減に貢献するとともに、新たな技術や知見の蓄積を進めていきたいと考えているという。

 トヨタは工場でのCO2排出量削減に向けて、現在使用しているエンジン式フォークリフトをFCフォークリフトに置き換えていく予定であり、まずは元町工場において、豊田自動織機製のFCフォークリフトを2017年に2台、2018年に20台導入した。今年は環境省の「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(再エネ水素を活用した社会インフラの低炭素化促進事業)」を活用し、「SimpleFuel」を導入したほか、FCフォークリフトをさらに50台追加した。

 なお、トヨタは愛知県をはじめ、関係自治体、企業とともに、「あいち低炭素水素サプライチェーン推進会議」を通じて、再エネを活用し「つくる・はこぶ・つかう」という水素のサプライチェーン全体の低炭素化を推進している。今回の「SimpleFuel」を導入による再エネ由来水素を製造し使用する取り組みは、愛知県が制定した「低炭素水素認証制度」の認定を受けた。

 トヨタは低炭素化を推進の方針に沿って、元町工場において「SimpleFuel」やFCフォークリフトの導入・利用を推進しており、今後も、「工場CO2ゼロチャレンジ」の実現に向けて着実に取り組んでいく。(編集担当:吉田恒)

■関連記事
トヨタ、小型コマーシャル・バン、プロボックスとサクシードにHVを追加
目指すは世界最高水準の「環境性能」。官民連携で挑む、日本自動車業界の未来図
トヨタとJR東日本、水素活用による、鉄道と自動車のモビリティ連携の検討を開始

※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。

関連キーワード

関連記事